カナダ山火事、現地在住ライターが見た一部始終 現場は自宅の10キロ先、街は一面、煙で真っ白に

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同州のボウイン・マー危機管理担当相はカナダ全土の国民に向けて、「山火事発生地域への不要不急の目的での渡航、宿泊施設の利用を9月4日まで制限する」ことを公表。これは避難者や消防隊員の拠点確保のため、ということである。

山火事が発生してから3日目の8月20日、ジャスティン・トルドー首相が軍に出動を命じる。

煙で一面真っ白になった空。周辺には煙の臭いが充満し、マスクをつけ始める人も増えた(写真:筆者撮影)

8月21日、消防に軍も加わって行われた懸命な消火活動により、避難区域の拡大は食い止められたが、いまだ鎮火の目処は立っていない。

8月22日もなお鎮火には至らなかった。ただ、山火事は最悪の状況を免れ、新たな避難指示などは出ていない。うっすらと青空が見えるようになり、火災の臭いもほぼなくなりつつある。

現場ではまだ炎が上がっている

8月23日の明け方。ケロウナでは念願の雨。雨は留まっていたスモッグを一掃し、6日ぶりに新鮮な大気が戻った。ケロウナ市民がこれほどまでに雨と青空を所望したことはないだろう。

ケロウナはほぼ日常を取り戻したが、ウエストケロウナの山火事発生現場、マクドガル・クリークではいまだ炎が上がっている。同日の午前零時には、ウエストケロウナ、レイクカントリーなどの一部エリアを除き渡航規制も解除された。

CBC(カナダ放送協会)の発表によると、8月23日現在の焼失面積は、ウエストケロウナ1万2270ヘクタール、ケロウナ790ヘクタール、ケロウナの北に位置するレイクカントリーでは370ヘクタールとなっている。

ウエストケロウナは市のおよそ北半分が被害を受けた。

続いて、山火事の原因と未曽有の災害に至った背景についてみていきたい。

そもそもカナダの夏は乾燥しているため、山火事が発生しやすい。ケロウナの夏の気候は例年28℃ぐらいで、比較的過ごしやすい街だが、ここ数年は30℃超えが当たり前となっている。とくに乾燥した晴天、35℃前後の高温状態が続いていた。

山火事の原因についてカナダ気象庁は、晴天が続いたことによる乾燥と、ヒートウェーブ(熱波)によるものと報じている。

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