カナダ山火事、現地在住ライターが見た一部始終 現場は自宅の10キロ先、街は一面、煙で真っ白に

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まず、山火事の状況を述べる前に、そもそもケロウナがどのような街であるか説明する。

ケロウナは、太平洋側の玄関口バンクーバーから車で5時間ほど、飛行機で1時間ほどの内陸部にあるブリティッシュ・コロンビア州第3位の規模を持つ街だ。

琵琶湖の約2倍の面積を有するオカナガン湖を挟んだ東側がケロウナ、西側がウエストケロウナと呼ばれ、市の主要部は東側に集中している。

湖の静けさに加え、湖沿いに点在する砂浜のビーチ(湖の砂浜)や芝生の公園の景観がリゾート地を思わせることから、ケロウナは“カナダのハワイ”とも称され、ベストシーズンである夏になると、世界中から大勢の観光客が押し寄せる。

自然豊かな地形から、年間を通してキャンプやサイクリングなどのアウトドアアクティビティが盛んであり、街のいたるところでサイクリストやハイカーに出くわすのが日常の光景だ。

また、チェリーや桃、リンゴ、ラズベリーといったくだものの産地としても知られ、果樹園やワイナリー巡りも観光の目玉として人気が高い。

筆者の家からも煙が確認できた

そんなトップシーズン真っ只中に起こった今回の山火事。

筆者の自宅から山火事発生現場までは10キロほど。火災の状況こそ目視できなかったが、煙が立ち昇り広がっていく様子ははっきりと確認できた。

発生直後の様子。山からは煙が立ち上っている。現場から10キロほど離れた筆者の自宅から撮影。煙は瞬く間に広がり、空を埋め尽くした。ここまで間近で山火事に直面したことはなかったため、不安がよぎった(写真:筆者撮影)

改めて山火事発生の経緯を整理してみたい。

ウエストケロウナで山火事が発生したのは、8月17日正午過ぎ。

強風の影響から、発生直後は64ヘクタール程度だった焼失面積は、24時間で約100倍の6800ヘクタールにまで拡大。午後には同市とその周辺の都市にブリティッシュ・コロンビア州デイビッド・イービー州首相は非常事態宣言を出し、「警戒を怠らず、地元当局の情報に耳を傾け、避難指示に従うように」と呼びかけた。

強風はその後も収まらず、同日夜には火の粉が東西の長さ5キロにもおよぶオカナガン湖を越え、対岸のケロウナ市街にまで到達した。

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