ハワイの山火事をここまで深刻にした「真犯人」 外来植物放置の危険性は前から指摘されていた

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マウイ島
ハワイ州マウイ島で起きた大規模森林火災では、多くの人が犠牲となってしまった。ここまで大規模になった理由は何なのか(写真:Max Whittaker/The New York Times)

マウイ島にあったハワイ最後のサトウキビ農園(プランテーション)が2016年に閉鎖されたことで、砂糖がハワイ諸島の経済の頂点に君臨していた時代は終わりを告げた。

しかし、3万6000エーカーのプランテーションで最後の収穫が行われると、別の重大な変化が浮き彫りになった。かつてはカネになる作物が生い茂っていた遊休地に、極めて燃えやすい外来種の草が容赦なく広がるようになったのだ。

ギニアキビ、モラセスグラス、クリノイガなど、家畜飼料としてハワイに持ち込まれたアフリカ原産のさまざまな植物が、現在ではハワイの土地の4分の1近くを占めるまでに繁殖している。雨が降れば急速に成長し、土地が干上がっても乾燥に強いこれらの草は、先日マウイ島で少なくとも100人の命を奪った火災も含め、ハワイ全域で山火事の燃料となっている。

大規模な山火事を引き起こす燃料

「それらの草は非常に侵略的で、成長がとても速く、たいへん燃えやすい」と、メリッサ・キメラは言う。キメラの祖母はフィリピンからハワイに移住した後、マウイ島のハワイアン・コマーシャル&シュガー社のプランテーションに住んでいた。

「より大規模で、より破壊的な火災を引き起こす組み合わせだ」と、パシフィック・ファイヤー・エクスチェンジ(PFE)で調整役を務めるキメラは付け加えた。PFEは、ハワイを拠点に太平洋の諸島国間で火災科学を共有するプロジェクトだ。

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