ハワイの山火事をここまで深刻にした「真犯人」 外来植物放置の危険性は前から指摘されていた
そして2023年、ハワイ大学マノア校で原野火災の科学と管理を専門に研究するトラウアニクトは、多数の死者を出したマウイ島の山火事を受け、本来なら管理可能だったかもしれない火災の規模が外来植物によって膨れ上がる可能性があることが、今回の件で明白に示されたと語った。プランテーションがあった土地に生えているそれらの草の多くは、その土地を所有する大企業によって未管理のまま放置されてきた。
先日の山火事で大部分が焼失したラハイナでは、侵略的な草が町の上の斜面を覆い、住宅地のすぐ隣にまで広がっている。
草と山火事の破壊的悪循環
こうした草の危険に関する懸念が強まってきたのは、1990年代にプランテーションの衰退が始まってからだ。その頃、世界中から移民労働者を引きつけ、200年近くにわたってハワイを形作ってきた農業モデルは終焉を迎えた。
プランテーションに代わって観光業の重要性が増し、サトウキビやパイナップルのプランテーションの閉鎖が進む中、熱帯の草地が手入れされることなく広がり、火災の専門家が「草/山火事」サイクルと呼ぶものが強まった。
ハワイ諸島で降る大雨は、外来種の草を1日に約15センチメートルも成長させることがある。その後、乾季が到来すると草が燃える。さらに、ある地域が山火事で荒廃すると、外来種の草がすぐに芽を出して広がり、山火事への適応力に劣る在来種の植物に取って代わり、草と山火事のサイクルがさらに破壊的なものとなる。
この悪循環を抑えるために当局ができることはいくつもあると、熱帯火災の専門家たちは力を込める。防火帯をつくったり、山火事への耐性がより強い植物を導入したり、家畜を使って草を管理可能なレベルに保ったりすることだ。