ハワイの山火事をここまで深刻にした「真犯人」 外来植物放置の危険性は前から指摘されていた

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 アメリカのものとしては過去100年で最多の死者を出したマウイ島の山火事の出火原因については、今も調査が続けられている。だが、地球の温暖化が進むにつれ、ジャングルのような熱帯雨林と緑豊かな丘で知られるハワイのような熱帯地域でさえも、一段と山火事の影響を受けやすくなっていることが明らかになりつつある。

西マウイの山火事発生確率は9割以上

ハワイ諸島にははるか昔から不毛な溶岩原と乾燥した草原が広がっており、降水量は1つの島でも片側と反対側で異なる。しかし近年では、年間平均降水量の長期的な減少や、雲の厚みの減少、気温上昇による干ばつも見られるようになった。

山火事災害の軽減に取り組む科学者たちは、ハワイで破壊的な火災が今世紀に入って急増していることを示すデータに着目し、何年も前からマウイ島の脆弱性が増していることに警鐘を鳴らしてきた。

たとえば、2020年にマウイ郡が作成した災害軽減計画書では、先日の火災で壊滅的な被害を受けたラハイナがある西マウイ地域を、郡内で山火事が発生する年間確率が最も高い場所としていた。

同計画書は西マウイを、山火事が発生する平均的な年間確率が「非常に高い」、つまり確率が90%を超える地域にリストアップしていた。マウイ島のほかの6つほどの地域の山火事発生確率はそれよりも低く、10%〜90%未満だった。

西マウイが2018年に山火事に襲われ21軒の家屋を焼失したことを受けて、ハワイで最も有力な山火事専門家の1人であるクレイ・トラウアニクトは、マウイ・ニュース紙への投稿で、マウイ島は危険に直面しているが、対処する余地はあると警告した。トラウアニクトは投稿にこう書いた。「山火事のリスクを減らすために私たちが直接変えられることの1つは、燃料、つまり草だ」。

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