ハワイの山火事をここまで深刻にした「真犯人」 外来植物放置の危険性は前から指摘されていた
トラウアニクトをはじめとする専門家たちは何年も前から、ハワイの山火事リスクを軽減するために、そうした行動を起こすよう求めてきた。また、2021年にはマウイ郡が自らの山火事予防報告書で「草が道路脇に急速に広がり、着火剤の役割を果たしている」と指摘し、「外来植物を減らすこと」を呼びかけていた。
山火事の危険性はこれからさらに高くなる
ハワイでは以前から、より積極的な山火事対策の必要性が議論されてきた。ハワイ諸島で外来植物の広がりを食い止めるには、費用がかかり、複雑な実施計画が必要になる可能性がある。
ハワイ州として連邦政府の山火事補助金を獲得するには、一般に大規模な山火事が大きく注目されることの多いアメリカ西部の州と争わなければならない。侵略的な草と闘うために、州政府にもっと独自資金を提供するよう求める当局者もいた。
ハワイはほかにも課題を抱えている。変化に富んだ地形も、その1つだ。消防士たちは、熱帯雨林、半乾燥の低木地、火山斜面の寒冷な高地など、さまざまな地帯で活動しなければならず、レンタル費用が高額なヘリコプターに頼らなければならないこともある。
さらに、キャンプファイヤーや花火などの活動や、自動車からの火花が出火原因の大半を占めるハワイでは、人的な要因もある。研究者たちによると、ハワイの深刻な住宅不足を背景とする大勢の路上生活者たちが、しばしば屋外で調理することで、出火の危険性が高まっているという。
自然災害の軽減を専門とするマサチューセッツ州の企業、ジェイミー・キャプラン・コンサルティングが2020年にマウイ郡のために作成した災害軽減計画書では、着実に上昇する気温がハワイの脆弱性を高めているとも警告されていた。「気候変動によって干ばつ状態がより頻繁に起こり、より激しくなるにつれ、今後は山火事の発生頻度が一段と高くなる可能性がある」と、この計画書は付け加えている。
(執筆:Simon Romero記者、Serge F. Kovaleski記者)
(C)2023 The New York Times
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