部位にもよりますが、筋肉というのは、かなりひどい目にあわないかぎり、あなたに痛みを感じさせません。たとえば、重たい荷物を突然たくさん運ぶなどの無茶振りをしたら「筋肉痛」が起きます。あるいは、かなり長時間デスクワークをして限界まで肩が緊張すると「肩こり」が生じるのは、よくご存じですよね。痛みがあるということは「異常」のサイン。これ以上使うと組織が壊れてしまうという体からのメッセージです。
これらは筋肉が痛みやこりという症状を声高に訴えている状態ですが、その手前で悲鳴をあげることはありません。なぜなら、少し体を動かしただけで筋肉が痛みを訴えていたら、日常生活に支障をきたすからです。
痛む理由は「こわばり動作」に体を狂わされたから
私たちの体には、少しずつの変化に慣れようとする性質があります。じつはこれがくせもので、たとえば毎日1ミリずつ背すじが丸まり猫背になっていったとすると、体はそれに慣れて適応しようとするのです。
「いつから痛みや不調を抱えたのか、もう思い出せない」
患者さんたちからこういうお話を耳にすることが多いのは、ほんの少しずつ腕の位置や首のカーブがずれていったり、股関節の可動域が狭まったりして、知らぬ間にどこかの筋肉に負担が集中していたからです。
じわじわと追い詰められていった筋肉は、悲鳴を上げることもできないまま、硬くなったり弱ったりしていきます。こうした「こわばり動作」が積み重なることで、原因不明と言われる痛みや不調を抱えていくのです。
日常生活でのこわばり動作は、じつは少し気をつけるだけで避けられるはずのものばかりです。やわらかいソファにはもたれかからない、スマホを見るときは姿勢を正すなど、大変なことや難しいことは必要ありません。
それでも多くの人が、こわばり動作を積み重ねるのは、体が、その日常動作をしたほうがラクと認識してしまうようになったからです。
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