「高学歴家庭から2浪短大」彼と家族に生まれた差 なにが原因だったのか、現在の仕事の話も聞く

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そんな彼にも2浪に突入する前に、改心するような出来事が起きます。

「書類に自分の身分を書くとき、『無職』と記入したんです。そのときに初めて、自分には何もないんだなってことが身にしみてわかりました。このころ、自分の叔父が会社を経営していたので、ぼんやりと起業家になりたいと思い始めていたのですが、何もない自分には何もできないと強く思ったんです。だから目の前にある大学受験を全力でやれば、自分の中で何かが変わるかもしれないと思いました」

大学受験を2度失敗した彼は、浪人を通して「自分の人生に何が必要か、選択できるようになった」と言います。

春山さんの2浪時代の日々の記録(写真:春山さん提供)

「自分は覚悟を決めなければ、勉強をしない人間だとわかったんです。だから、スマホを解約して、ジップロックに入れて、庭に穴を掘って埋めました。誘惑を自分から断ったんです。そうすることで自分は初めて、自分の人生を真剣に考えることができるようになったと思います。目の前の勉強に真剣になれて、1日15時間、左耳が聞こえなくなるくらい自分を追い込んで勉強しました」

1日で偏差値を1上げる

朝の8時半に家を出て、個別指導の塾で勉強し、夜11時半に帰宅するという生活を続けていた春山さん。志望校である早慶上智に到達するため、「1日に偏差値を1上げようと頑張りました」と語る彼は、5月の記述模試で37だった偏差値を、7月には63にまで上昇させます

こうして順調に成績を伸ばした彼はこの年、早稲田・慶應・上智を受験し、上智大学の1次試験に合格するほどの目覚ましい成長を遂げます。しかし、2次試験の面接で惜しくも落ちてしまい、目指していた早慶上智にはあと一歩届きませんでした。

それでも彼は腐ることなく、次なる選択肢を見つけます。それが、編入試験でした。

「受験が終わってからどうしようかを考えていたとき、大学生や社会人の編入・大学院進学のサポートをする予備校の案内がポストにたまたま入っていたんです。これだ!と思って、編入試験を受けるための条件である単位を得られる通信制の短期大学に通いながら、編入試験の勉強を始めたんです」

その短大は「年に4回だけ学校に行って、テストで英語のスペルを書けば単位をくれた」そうで、2年間の大半を1日15時間ほどの編入試験の勉強に費やしたようです。

「実質4浪です(笑)」と語るその勉強漬けの生活の果てに、ついに彼は筑波大学・広島大学・香川大学の3年次編入試験に合格し、筑波大学に編入学しました。

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