母が転んで歩行不能、入居施設に問題はないのか 高齢者は転倒しやすい、防ぎきれないケースも

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例えば、部屋の中で転倒を繰り返すのであれば、物の配置を変えたり、手すりをつけたり、照明を明るくしたりするなどの対策を取ることも可能です。また、介護保険の適用外にはなりますが、転んだときに凹んで衝撃を吸収する機能素材の床やマットなどもあり、こうした対策グッズを転倒に備えて取り入れるのも1つの案です。

こうした対策について施設の人たちと話し合い、努力されたうえでの転倒なら、それはやはり仕方がないかもしれません。もしまだ主治医や施設に相談されていなければ、早めに対策について話し合いましょう。

大切なのは、「あれ、大丈夫かな?」と思ったらそれを抑え込まないこと。関係者にきちんと話をして、その都度、疑問や不安を解消していったほうがいいです。

モヤモヤを抑え込むことが続くと、どうしても不信感が募ってしまいます。何らかのできごとがきっかけでたまった不満が一気に出てしまえば、穏やかに話を進めることができず、つい言葉も強くなりがちです。

施設のスタッフや医師も人間ですから、家族から責められるような姿勢で強く言われたり、「お金を払っているんだから、解決するのが当たり前でしょう」という姿勢でこられたりすると、防衛反応が働いて反論してしまうことだってあると思います。

その結果、お互いにコミュニケーションがうまく取れなくなり、大事になってしまう場面が出てくるかもしれません。

上手な伝え方をすることが大事

そうならないためにも、まずは小さな疑問の段階で、解消すること。そして上手な聞き方をすることも大事です。その1つが、「自分たちに何かできることはありますか?」という姿勢です。

施設に対しても「病院に連れていったほうがいいか?」と聞くより、「病院に連れていく必要があったら教えてください」と言ったほうが、印象が柔らかく、すんなり伝わると思います。

ちょっとしたことですが、伝え方次第で受け手の印象が大きく違ってくるものです。私も日頃から、患者さんや家族とのコミュニケーションの中で、相手に伝わりやすい言い方を心がけていますが、こうした心がけを持つのは、信頼関係を築くうえで欠かせないと感じています。

疑問や不安を都度、施設に聞くことに対し、「そんなに何回も聞いたら、面倒な家族だと思われるかもしれない」と心配される人もいるかもしれません。しかし、施設側もそうした家族の気づきや疑問を、ありがたく思うこともあります。

実際に、問題が小さなうちに解決することで、大きな事故を予防することができれば、施設にとってもメリットが大きいはずで、結果的にケアもスムーズに進みます。理想は、疑問や不安をとことん聞いて話し合ったうえで、家族と施設側とが1つのチームになれる関係性です。

ここまでは施設を変えない前提でのお話でしたが、もしすでに施設に対して不信感が募っていて、かなりネガティブな印象を持っていたとしたら、施設を変えるのも選択肢の1つだと思います。

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