選択肢の中には、YouTubeを手掛かりに、演奏活動をしていく、という道もあった。ただ「動画がバズったのは、たまたまかもしれないし、それに人生をかけられるほどの勇気はなくて」。職場復帰、または転職し、会社員をしながら、休日にピアノ演奏の動画をアップすればいい、とも考えた。
しかし、動画をアップしてくれた先輩に言われた、「人生、一度でも多く笑った人の勝ち」という言葉に背中を押された。「自分の動画を見たら、すごく楽しそうに笑いながらピアノを弾いていました。自分が笑顔になれる道は、ちゃんと見つかっている」。 会社を辞め、“ハラミちゃん”として活動していく覚悟が決まった。
不安はあったが、「貯金がなくなるまで」という期限付きなら挑戦してもいい気がした。当時、YouTubeでの収益は「駄菓子が買えるぐらい」で微々たるもの。「これで生活をするなんて、絶対にできないけれど、貯金がなくなるリミットまでは、全力でやってみようかな、という感じで、あまり深刻に考えずに決心できました」。
初めてのライブパフォーマンス
YouTubeと並行し、ライブストリーミングサービス「17LIVE」で、演奏のライブ配信を始めた。
だが初めてのライブ配信では「ずっとピアノを弾いているんですが、システムが壊れているのかな、って疑うぐらい、いつまでたっても誰も聴きにこなかったんです。思わず、家族に頼んで、アカウントを登録してもらおうかと思いました。それで実感したんです。あっ、そっか、これが当たり前だよね、って」。
YouTubeで注目された実感があった分、ショックもあった。それでもめげずに毎日、配信を続け、見に来てくれた人を喜ばせられるよう内容をブラッシュアップしていった。中には新人を発掘するのが好きな人もいて、だんだん口コミで視聴者の数は増えていった。YouTubeからの流入もあった。
ライブ配信中は、オンラインとはいえ、配信者と視聴者が直接つながり、コミュニケーションをとれる。コメントを読んだり、リクエストに応えたりしているうち、ハラミちゃんも、視聴者も、「こういう感じでコミュニケーションをとっていいんだ、っていうのがお互いにわかってきて」、距離が縮まっていった。
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