大胆すぎる「社内風土改革」に潜むワナ

中には世界遺産級に守るべき"資産"も

過去を否定して、変わることでしか会社は生き残ることができない――これもひとつの事実。会社創業期の成功体験が、今となっては障害でしかないことも多いでしょう。そうなると「この会社は生まれ変わったと思っていただきたい」とトップが大幅な改革を宣言し、さらなる成長を遂げたケースはたくさんあります。

10年以上も増収増益を続けるあるサービス業の会社では、経営トップが

「時代の変化に対応して的確な決断を下すには、不断の自己否定が必要。これまでの自分を否定して、これからの動きに対応する新たな自分になってください」

と頻繁に訓示を発信。社内には「すべてを捨てよ」と合言葉が掲げられるくらいに徹底していました。このように、多くの会社が過去を塗り替えるくらいの覚悟が必要な時代になったと言えるのかもしれません。ただ、変えないほうがいい、変えないから生き残れるものはないのでしょうか?

加点主義を減点主義に180度転換

変えること、過去の否定ありきで、社内が大混乱に陥った失敗例もあります。取材したある製造業の会社では、トップの交代によって社内文化が180度変わってしまったようです。

もともと創業オーナーによる家族経営で、社員に対しては加点主義が取られてきました。もし仕事で失敗しても次で挽回すればいい。だから、

「自分が企画した新製品が売れなくて、数億円の損失を社内に与えた」

と、自分が犯した失敗について臆面もなく、武勇伝のようにすら語る社内風土も醸成されていました。

それを裏付けるかのように「今年の大失敗」と題した報告会で、大きな失敗をたたえるイベントさえ用意されていたくらい。ある意味、挑戦心の強い社員を育てる環境は整っていたと言えます。

ところが、こうした加点主義の大らかな経営は収益を圧迫。ついには創業オーナーが退陣して、金融機関から経営陣が送り込まれることになりました。すると、新経営陣は

「悪しき社内文化を改めて、新しい船出をしましょう」

と過去との清算を打ち出しました。そして、その悪しき社内文化こそ加点主義だと断定したのです。

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