ちなみに社内文化の変化は、人材の代謝を起こすことにもなります。「大事にしてきた社風が変わり果ててしまって、到底、納得できない」と辞表を出す経営幹部も数名いたようです。
変えるべきもの、そうでないものの見極めを
変化することは悪いとはいえませんが、議論が不十分で拙速なことも少なくありません。過去の否定は、これまで長く会社に勤務してきた社員たちの自信さえも失わせるリスクをはらんでいます。当方も、リクルート時代に前任の方針をことごとく否定する役員の下で仕事をしたことがあります。
「過去のことはすべて忘れて、これからの方針だけ信じてくれればいい」
と途中まで進んでいたプロジェクトもすべて中止。組織名まで大幅に変更しました。ここまで過去を否定されると、努力が水の泡になったような気がするもの。将来を嘱望されていた若手社員が「また、同じように過去を否定する役員が何年後かにくると思うと耐え難い」と、辞めていくのを何度も見ました。
今、振り返っても、そこまで全否定しなくてもよかったのではないか? もう、少し、過去の社内文化を認める寛容さが必要だったのではないか……と、私にとっては忘れられない反面教師になっています。
変化の激しい時代と言われて久しいですが、世の中の変化に合わせて変えるべきもの、変えるべきでないものを見極めることが重要です。会社で働く現場の社員たちは、ドラスティックすぎる変化にはなかなかついていけないもの。経営陣は会社として変えてはいけないものを定義して、しっかり守っていくスタンスを持つべきでしょう。
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