大胆すぎる「社内風土改革」に潜むワナ 中には世界遺産級に守るべき"資産"も

✎ 1〜 ✎ 86 ✎ 87 ✎ 88 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ちなみに社内文化の変化は、人材の代謝を起こすことにもなります。「大事にしてきた社風が変わり果ててしまって、到底、納得できない」と辞表を出す経営幹部も数名いたようです。

変えるべきもの、そうでないものの見極めを

変化することは悪いとはいえませんが、議論が不十分で拙速なことも少なくありません。過去の否定は、これまで長く会社に勤務してきた社員たちの自信さえも失わせるリスクをはらんでいます。当方も、リクルート時代に前任の方針をことごとく否定する役員の下で仕事をしたことがあります。

「過去のことはすべて忘れて、これからの方針だけ信じてくれればいい」

と途中まで進んでいたプロジェクトもすべて中止。組織名まで大幅に変更しました。ここまで過去を否定されると、努力が水の泡になったような気がするもの。将来を嘱望されていた若手社員が「また、同じように過去を否定する役員が何年後かにくると思うと耐え難い」と、辞めていくのを何度も見ました。

今、振り返っても、そこまで全否定しなくてもよかったのではないか? もう、少し、過去の社内文化を認める寛容さが必要だったのではないか……と、私にとっては忘れられない反面教師になっています。

変化の激しい時代と言われて久しいですが、世の中の変化に合わせて変えるべきもの、変えるべきでないものを見極めることが重要です。会社で働く現場の社員たちは、ドラスティックすぎる変化にはなかなかついていけないもの。経営陣は会社として変えてはいけないものを定義して、しっかり守っていくスタンスを持つべきでしょう。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事