大胆すぎる「社内風土改革」に潜むワナ 中には世界遺産級に守るべき"資産"も

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経営陣は人事評価の見直しを行い、

・会社に対する損失
・社内に対する悪影響

となる行為に厳しい、いわば「減点主義」的な体制に変えました。すると、数億円の損失を自慢げに語ることなど許されない状況に。

この変革は、社内に2つの変化をもたらしました。ひとつめは収益の改善。これまで加点主義ゆえ、甘くなっていた無駄に対する意識が変わりました。「その仕事は収益的に大丈夫なの?」と収益面での判断を複数の関係者でチェックすることになり、赤字でも「お客様が要望しているから」と製造が続いていた製品は発売中止。こうして、無駄が排除されて営業収益が10%以上も改善されました。新経営陣は正しい経営判断の成果と、誇らしげに社内報などで発信しました。

「やってもムダ」と戦意喪失させる結果に…

一方で弊害も生まれてきました。これまでは、玉石混淆ながら新製品の企画が現場から年間30件以上上がり、そこから実際に製品化するケースが1~2件ありました。その中には10億円規模の売り上げにまで成長した商品もありました。ところが、

「新経営陣になってから企画がひとつも上がってこない」

状況になりました。

確かに、新製品の企画を上げて、仮に製品化されてもあまり評価されないのです。ならば、自分の足元の業務だけに専念すればいい……となるのは当たり前。こうした変化は、一時的なものにとどまらず、これまでの社内文化に深く影響していくことになるでしょう。

短期的には、無駄の排除を進める新たな社内文化の浸透で、経営状態は改善するかもしれません。ただ、中長期的に成長(売り上げ拡大)を目指すためには、捨ててしまった「失敗を恐れない社内文化」が再び必要になるように思われてなりません。

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