地味な銀行を「Tech企業に作り変えた」CEOの執念 「世界最高のデジタル銀行」DBSのすごい大変革
DBSでは、スタートアップのように考え行動するための指針として、5つのサブテーマを「ABCDE」という5文字に集約した。それぞれは次のような言葉の頭文字だ。
B : Be a learning organization(学習する組織であること)
C : Customer Obsessed(顧客中心主義であること)
D : Data-driven(データドリブンであること)
E : Experiment and take risks(試行し、リスクをとること)
これらの行動指針は、組織内の全部門に展開されて実行に移された。各部門では、自分たちの顧客に対してデザインシンキングの4Dアプローチを適用する。4Dアプローチとは次のようなサイクルである。
まず顧客のカスタマージャーニーを調べて、非効率や問題点に関する知見を得る(Discover)。データが収集可能であれば、その分析も活用する。次いで改革機会を見出して定義し、改革のコンセプトを練り上げる(Define)。次にその実現に向けて、プロトタイプを作ってテストを繰り返し、それを洗練させていく(Develop)。最後に、出来上がったコンセプトを実装する(Deliver)。
Developの段階ではアジャイル手法が使われ、短サイクルでプロトタイプを繰り返し作成して完成度を高めていく。プロトタイプは必ずユーザーのフィードバックを受ける。
以下ではABCDEの各項目について代表的な例を見ていこう。
A:アジャイルであること
DBSでは「テクノロジーはビジネスであり、ビジネスはテクノロジーである」という言葉を組織の皆が用いるようになり、テクノロジー部門と業務部門とが一体で活動するようになった。
具体的な推進方策の例としては、two-in-a-boxというフレームワークが挙げられる。ビジネス部門とテクノロジー部門が、個々のプラットフォーム(テーマ)について、共通のゴール、事業戦略、導入ロードマップに基づいて協働で開発し運用する方法である。2018年以降、ヨコの事業部門やタテの業務関係間で、30個を超えるプラットフォームが生まれている。
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