自生する植物を利用する彼らの知識は、都会で先進的な暮らしをする人たちが今になって追い求めている「エコロジー」や、「サスティナビリティー」そのもののように見えた。
商店はスーパーマーケット1つ
次に我々は街へ向かった。
街といっても人口わずか283人の島。商店らしきものはスーパーマーケットが1つあるだけだ。スーパーと言っても日本の少し大きめのコンビニくらいの広さで、肉や野菜を含めた食料品や日用品は一通り揃ってはいるが、いくつかのブランドから選べるほど品揃えが豊富ではない。「村のよろずやさん」といったイメージだ。
酒や本、家電、家具など、店に置いていないものは、注文して週に一度来る定期船で届けてもらう。
島には小学校が1校ある。児童数は93人。中学は本土(オーストラリア大陸)の寄宿舎のある学校に入る。高校や大学を卒業したあと、島にどれくらいの割合の子が帰ってくるのか。ガイドのフレイザー・ナイ氏はちょっと複雑な顔をしながら、「まあ半々といったところだね」。
島にはどんな仕事があるのか聞いてみた。
「いちばん多いのは政府関係の職員。公共事業でこの30年で電気や水道など、さまざまな施設が作られるようになったし、学校の教職員もいる。次が漁業。でもそれだけでは足りないので、自分たちはこうやって観光業を大きくしようと思っている。それで雇用が増えれば、学校を卒業してから島に戻ってくる子たちが増えるからね」
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