G7で大活躍、JR西「観光船シースピカ」誕生の秘密 地元海運会社と共同開発し瀬戸内海クルーズ

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SEA SPICA シースピカ
JR西日本が瀬戸内海で運航する観光型高速クルーズ船「シースピカ」(記者撮影)
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先進7カ国および欧州連合(EU)の首脳が一同に会するG7サミットが5月19〜21日に開催された。会場となった広島市は平和都市として知名度が高いが、瀬戸内海に面した観光地でもある。

初日となる19日夕方、G7の首脳たちはチャーター船に乗って、厳島神社に向かった。濃い青色と白を基調とした高級感あふれる船のデッキで、首脳たちがくつろいでいる様子が世界中に中継された。

この船の名は「SEA SPICA(シースピカ)」。広島市に本社を置く海運会社の瀬戸内海汽船グループとJR西日本グループが共同で開発した観光型高速クルーザーで、2020年9月から瀬戸内海で運航している。瀬戸内・中国エリアにおいては鉄道に加え、シースピカも観光活性化に欠かせない交通手段だ。鉄道と船。同社はなぜこのタイミングでシースピカの建造に乗り出したのか。

「鉄道と船」の観光ルートを構築

JR西日本は2005年10〜12月のデスティネーションキャンペーン(DC)開催に合わせ、観光列車「瀬戸内マリンビュー」を開発し、広島―三原間に投入した。その後は2012年に瀬戸内海を舞台とするNHK大河ドラマ「平清盛」が放送されたり、2013年7〜9月に再び広島DCが開催されたりするたびに、観光列車の出番が増えた。

瀬戸内エリアの観光が盛り上がるにつれ、島々をめぐる旅への関心も高まってきた。しかし、鉄道による島めぐりは不可能。そこで、JR西日本は海運会社と組んで鉄道とクルーズ船を組み合わせた広域周遊ルートを構築することを決めた。

パートナーとなったのは、広島―呉―松山を結ぶ高速船やフェリーを運航する瀬戸内海汽船。彼らにとってもこの申し出は願ったりかなったりだった。しまなみ海道や瀬戸大橋など本州と四国を結ぶ連絡橋の整備が進むにつれ、本州―四国間を行き来する交通手段が船から自動車にシフト。同社は新たな収益源を模索していた。

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