「用語が違うぞ」JR東海・西日本、合同訓練の裏側 新幹線運行終了後の深夜、大地震で停電想定
新幹線の運行が終了した深夜。温度計の目盛りは気温3.6度を指していた。厳寒の12月14日の深夜から翌日未明にかけ、大規模地震を想定した東海道・山陽新幹線の訓練をJR東海とJR西日本が合同で実施。両社の社員約100人が参加した。
大規模地震による停電で、新大阪駅と新神戸駅の間で列車が長時間にわたって停止したという想定での訓練だ。東海道・山陽新幹線は新大阪駅を境に担当会社が切り替わる。新大阪駅はJR東海の管轄で、博多方面に少し進んだあたりからJR西日本の管轄となる。会社境界付近で異常が発生したら、JR東海かJR西日本のどちらか1社に任せるのではなく、合同で職種や通常の持ち場を越えて迅速な避難誘導にあたる。このような両社による訓練はコロナ禍前の2020年1月16日にも実施されており、今回が2回目となる。
訓練列車は8両編成のN700系
前回の訓練では、日本語がわからない外国人客にタブレット状況を説明していたが、今回は行われなかった。逆に、新たに加わったものとして、けがをした乗客の対応が加わったほか、車いすの乗客を列車から降ろした後に、モーターで動く軌道自転車に乗せて大阪駅まで搬送するといった対応が加わった。訓練内容が異なる理由は、1回の訓練の中でできる内容は限られており、テーマを取捨選択しているためだという。基本動作は毎回行うが、なるべく新しい訓練も行って練度を高めたいという意向だ。
訓練列車に使用される列車も変更された。前回は16編成のN700Aだったが、今回は「さくら」「みずほ」として用いられる8両編成のN700系が使用された。山陽新幹線区間では16両編成の列車には車掌が2人乗車しているが、8両編成の場合、車掌は1人しかいない。少ない人数で乗客の避難誘導を行えるかというのが今回の重要なテーマだ。
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