東京駅で反撃、JR東海「エッジ利かせた」販売戦略 コロナ禍だから発見できた「おうち土産」需要
コロナ禍まっただ中での船出。それでも歯を食いしばって営業を続けていたら思わぬ金脈を掘り当てた。
JR東京駅の八重洲北口に「東京ギフトパレット」という商業施設が広がる。JR東海グループの東京ステーション開発が運営する東京駅構内の商業施設「東京駅一番街」のエリアの1つとして、2020年8月に開業した。みやげ物やスイーツを中心にお弁当や惣菜なども販売する。
しかし、開業のタイミングは最悪だった。新型コロナウイルスの感染拡大により、新幹線「のぞみ」の利用状況はコロナ前の4分の1程度まで落ち込んでいた。東京駅の構内は人通りが激減し、どの店の前も閑散としていた。
需要があったのは「おうち土産」
売り上げが伸びない。といってもゼロではない。少ないとはいえ一定の購入客がいる。東京ステーション開発の担当者たちは店頭の様子の観察を続けていた。「誰が何を買っているのだろう」。
分析を重ねるうちに見えてきたことがあったという。それは何か。同社の宇田川享社長に尋ねるとこんな答えが返ってきた。「おうち土産としての需要が強い」。
おうち土産――。つまり自宅用の購入である。観光客も出張客もほぼ壊滅状態の中で、家族へのお土産なのか、自分へのご褒美なのか、目的は人それぞれだが、自宅用の購入需要はコロナ禍でも安定していた。
「コロナ禍が収束してもおうち土産の需要は一定程度あるはずだ。これからもここを伸ばしていこう」(宇田川社長)。コロナ禍で苦しむ中、明日につながる一筋の光明が見えた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら