オーストラリアの先住民の名前は? そう聞かれて「アボリジニ(Aborigines)」と答える方が多いかもしれない。ただしその呼び名に差別的なニュアンスがあるとされ、近年では「アボリジナル(Aboriginal)」と呼ばれる。
だが、この国にはアボリジナルとは別の先住民のグループがいることをご存じだろうか? 彼らの名は「トレス海峡諸島民」。現地では「トレスストレートアイランダー(Torres Strait Islanders)」と呼ばれている。
今回、世界100カ国以上の現地在住日本人ライターの集まり「海外書き人クラブ」は、他の4名のジャーナリストとともに海外メディア関係者として、彼らが住む島の1つ「マシッグ島(英語名:ヨーク島)」を初めて訪ね、1泊2日過ごした。
この目で見た彼らの暮らしぶりをお伝えしよう。
日本に最も近いオーストラリア
地理的に見ると、トレス海峡諸島は「日本から最も近いオーストラリア」である。
トレス海峡はオーストラリア大陸の北東端にあるヨーク岬と、パプアニューギニアとの間にある幅約150キロの海峡。その付近には多くの島が点在し、38の島に人が住んでいるとされる(トレス郡当局のサイトによる。ただ同サイトでも島の数が133とされていたり、「少なくとも274」 だったりと記述が異なる)。
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