マクドナルド「カフェ商品」全国展開の戦略的狙い フラッペなどの取扱店拡大で新需要を開拓

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カフェメニューを含むサイドメニューの拡充は、店舗のピークタイムを分散化する効果が期待できるだけでなく、利益の押し上げに寄与する可能性もある。

ある外食業界関係者は、「カフェメニューの拡充は商品戦略として理にかなっている。ハンバーガーのセットメニューに、もう一品加える客も出てくるだろう。そうなると、客単価の上昇につながる」と話す。

また、ハンバーガーに比べて、カフェメニューなどのサイドメニューは原価率が低いとされる。牛肉やポテトなどの輸入食材の価格が高騰する中で、「カフェメニューがたくさん売れれば、利益的にもプラスだ」と、マクドナルドのある幹部は明かす。

競合のモスバーガーもカフェを強化

カフェタイムの集客強化は、ハンバーガーチェーン各社の課題でもある。

競合のモスバーガーを運営するモスフードサービスも、昼の時間以外の需要を創出しようと「売り上げ平準化」を経営戦略として掲げる。そこで、カフェタイムを意識して、カフェメニューを提供する「モスバーガー&カフェ」を2019年から展開している。

モスフードサービスが展開する「モスバーガー&カフェ」。通常店舗にはないパンケーキなどを提供する(記者撮影)

モスバーガー&カフェは通常のモスバーガーのメニューに加え、パンケーキなどのメニューを販売。カフェラテやココアなどモスバーガー&カフェ限定のドリンクメニューも提供している。

通常の店舗よりも大きめのテーブルを設置し、「食事をするだけではなく、会話も楽しめるような空間」(モスフードサービス広報)を目指す。

「モスバーガー&カフェ」は6月末時点で63店舗と、全体の5%ほど。今2023年3月期も対応店舗の増加を計画する。

マクドナルドやモスバーガーはカフェメニューの展開に邁進するが、外食関係者の見方は冷ややかだ。「ハンバーガーは昼に食べるものというイメージが強い」(複数の外食業界関係者)。大手カフェチェーンのある担当者は、「(マクドナルドと当チェーンでは)店舗の使われ方が違うので、直接的な競合にはならないだろう。カフェメニューを目的にマクドナルドを選ぶ消費者は、それほどいないのではないか」と指摘する。

こういった業界関係者の見方を覆し、カフェとしての利用を広げることができるのか。消費者から支持の得られるカフェやスイーツのメニューを投入し続けることができるかが、成否のカギを握りそうだ。

金子 弘樹 東洋経済 記者

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かねこ ひろき / Hiroki Kaneko

横浜市出身で早稲田大学政治経済学部を卒業。2023年4月東洋経済新報社入社。現在は外食業界を担当。食品ロスや排出量取引など環境問題に関心。

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