マクドナルド「カフェ商品」全国展開の戦略的狙い フラッペなどの取扱店拡大で新需要を開拓

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ただ、その要因をつぶさに見ると、違った側面が浮かび上がる。6月の客単価は11.6%増と2桁の伸びを見せた一方で、同客数については5.3%減少と5カ月連続の前年割れだった。売上高の伸びを支えるのは昨年から実施してきた3度の値上げで、集客には苦戦しているのだ。

マクドナルドの年間来客数は14億人を超える。幅広い層から支持を受け、ピークタイムの昼の時間には店頭に多くの人が並ぶ。ドライブスルー対応の店舗では、ドライブスルーレーンだけで車が収まらず、前面の道路で渋滞が起きることも珍しくない。

ピークタイムの効率化に向け、モバイルオーダーなどのデジタル化や席数の増加などキャパシティの向上に力を入れるも、混雑が完全に解消されているわけではない。

「McCafé by Barista(マックカフェ バイ バリスタ)」を併設する店舗(記者撮影)

マクドナルドの「本気カフェ宣言」

客を受け入れるキャパシティに限界が見えるものの、一段成長のためには客数の増加が不可欠だ。そこで狙うのが、昼と夜の間の時間であるカフェタイムの売り上げ増加である。

ハンバーガーチェーンにとって、カフェタイムは客数の少ないアイドルタイム(ピークタイム以外の閑散時間帯)だ。この時間帯の需要を取り込もうと、マクドナルドはカフェタイムを意識した商品の開発を積極化してきた。

マクドナルドは2023年に入り、「本気カフェ宣言」を掲げた。第1弾として1月に「プレミアムローストコーヒー」を、続く第2弾として2月にカフェラテなどのメニューをそれぞれリニューアル。そして、今回のカフェメニューの全国展開が第3弾となる。

カフェメニューの販売を通常の店舗まで拡大したいという考えは以前からあった。しかし、フラッペやスムージーをつくる機械を導入するための十分なスペースがある店舗は限られていた。そこで従来よりも小型の機械を開発。その小型機械を2021年ごろから順次導入し、7割ほどの店舗に導入が完了したことで今回の全国展開の発表に至った。

今後についても、「バイ バリスタで提供する期間限定の商品を通常の店舗でも販売していきたい」と、亀井部長は意気込む。

強化するのはドリンクメニューにとどまらない。「レストランだけでなくカフェとしても利用できるように、コーヒーや(フードなどの)カフェメニューを強化する」。2023年2月に行われた2022年度決算説明会で、日本マクドナルドHDの日色保社長はそう述べた。

マクドナルドは5月に、レトロ感をコンセプトに、昔ながらの本格的な喫茶店の味わいを再現した企画「喫茶マック」を展開。関連商品として投入した「喫茶店のコーヒーゼリーパフェ」は売れ行き好調で、当初5月末に販売が終了する予定だったが、5月の半ばには品切れする店舗が続出した。今後もスイーツの投入を継続する方針だ。

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