「奨学金216万」父が余命宣告された高3女子の決断 「父は働けないどころか、もう長くはない」

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「卒業する直前に奨学金返済についての説明会があり、そこで初めて報奨金制度を知りました。貸与には保証人が必要だったので伯母になってもらいましたが、もうこれ以上彼女に迷惑をかけられないため、早く返そうと思ったんです。

ただ、給料は人並みだったのと、母と実家暮らしとはいえ、生活費はカツカツだったので、毎月払いではなく、ボーナス月に一括で年間13万円程度返していました。でも、借りたから返すのは当然のことなので、返済がつらいと思うことはなく、むしろ年々残りの返済額が減っていくのが楽しかったですね」

その後、返済開始から12年目の年、返済額が73万円になったところで、唐澤さんは全額を一括返済。報奨金として、手元に7万3000円が戻ってきた。

「翌年には制度が終わるということで、貯金を使って返しました。34歳の時ですね。本音を言えばもっと早い段階で返したかったのですが、給料や生活のことを考えると、これで最短だったと思います。戻ってきた7万3000円ですが、もう20年も前のことなので、何に使ったかは覚えていないですね(笑)」

なお、この制度は2005年に廃止されている。残念な限りだ。

奨学金を返済した後、結婚

奨学金の返済後、唐澤さんは勤務先の同僚と結婚。一区切りついたところで、結婚に踏み切ったのかと思いきや、特にタイミングは関係なかったという。

「そもそも、夫とは奨学金の話をあまりしないんですよね。もちろん、わたしが借りていたことは、話したことはありますが、彼から『いつまでに返済するのか?』などは聞かれませんでした」

結婚後、しばらくは賃貸物件に住んでいたが、2人で貯めていた貯金を使ってマンションを購入。それなりのキャッシュが必要だが、都心に比べると北関東は価格帯が低いのと、2人に子どもはいないため、極度に大きな買い物にはならずに済んだ。

そして、奨学金の返済終了と結婚から10年近くが経過した5年前。会社が人員削減のために、退職金割り増しで早期退職者を募ったため、やりたいことはやり尽くした唐澤さんは、48歳で26年間勤めてきた会社を辞める。現在は、資格取得のために勉強の日々を送っている。

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