まさに事典「北海道旅本」全市町村を網羅の本気度 北海道担当歴10年の編集担当に聞いた旅のプランニング
「ガイドブックはどうしてもメジャーな観光地や旬の情報を中心にしたダイジェスト版になる。一方、『北海道旅事典』は、隅々まで紹介したいと思った。すべての市町村の名前、ヨミ、地名の由来、さらに地理的な場所や形などの基本情報も旅人目線では面白いので、そのあたりが調べやすい “事典”スタイルにした」(茂呂さん)
特徴的なのは、その作りだ。ガイドブックは最新情報や話題のスポットなど強弱を付けながら紹介しているが、『北海道旅事典』は、ページを開いた見開きの左側に情報、右ページには地図が規則正しく載っている。つまり情報の半分が、地図なのだ。
スマートフォンの地図アプリは、もはや私たちの生活必需品だが、
「地図アプリはピンポイントで行き先がわかっている時にはとても便利。しかし、ワードがわからないと検索もできない。また土地勘がなく距離感もわからない土地では、地図はピンポイントではなく、“引いて”みないと自分の位置が掴めない。地図アプリの場合、引いてみると固有名詞の文字は画面上から消えてしまう。
そこで、本書は広域地図をベースに特定テーマの情報がひと目で一覧できるように、また知らないことにも出会えるように、あえて広域ベースでの見やすい地図を作ることに重点を置いた」(茂呂さん)
「地図アプリと地図」の違い
茂呂さんによると、私たちがスマホでよく見ているのは5000分の1程度の縮尺で、建物形状がわかるレベルだが、駅から最寄りのスポットを見比べようというときには2~3万分の1の縮尺に縮小していると言う。
さらに広い範囲を見ると細かな情報は消えてしまうが、市町村同士で見比べて旅の情報だけが見えるように今回の北海道旅事典は70万分の1程度の地図で一覧できるように工夫。
見たいテーマ、目的によって地図縮尺の最適解は違うため、旅事典の地図にはこだわりがある、とのこと。さすが、地図を扱う出版社だけあって説得力がある。
同社では、コロナ禍の2020年、地図情報をメインに日本にある鉄道の全線路と全駅を収録した『レールウェイ マップル 全国鉄道地図帳』を刊行し大ヒットした。家で地図を眺めながら現地に思いを馳せる人も多かったようで、多くの鉄道ファンの“鉄道旅”欲を掻き立てたのだろう。
「『全国鉄道地図帳』は深掘りした愛好家向けの本で、『北海道旅事典』は基本的にその姉妹本のようなイメージ。昭文社の強みである地図をメインに据えた、これまでにないガイドブックを作ろうとした」(茂呂さん)と言う。
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