「エラー運賃」を航空会社が多発させる事情 ファーストクラスが9万円で販売されていた

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本来であれば約280万円もする航空券が約9万円で販売されていました(写真:doomu/iStock)

キャセイパシフィック航空でベトナム・ダナンからニューヨークまでファーストクラスで往復825ドル(約9万円)――。

元日の朝のことだ。筆者は寝ぼけまなこでこの情報をみて文字どおり飛び起きた。ベトナム中部の都市ダナン発ニューヨーク往復のキャセイパシフィック航空ビジネスクラスが総額675ドル(約7.4万円)、ファーストクラスも825ドル(約9万円)で売られていることが判明した。通常、この区間の航空券をファーストクラスで予約すると約280万円となる。

これは、航空会社の「ミス」によって登録された、いわゆる「エラー運賃」で、1月1日の夕方には、この運賃では購入できなくなった。

無効になることもある

このように、航空会社のミスによって登録された運賃のことを英語で「エラー・フェア」や「ミステイク・フェア」と呼ぶ。こうしたエラー運賃は、航空会社がミスを発見しだい取り消し、無効になる場合と、そのまま取り消されないで有効になる場合がある。

今回ははたして有効になるのか……世界中で1000人に及ぶとも推察された購入者は気をもんだに違いない。そして、翌日の1月2日、キャセイパシフィック航空の公式ツイッターが今回のエラー運賃を有効なものとすることを明らかにした。

エラー運賃が有効だと報告するキャセイパシフィック航空の公式ツイッター(筆者提供)

この結果は日本を含めて世界中のメディアで報道された。ネットなどでの反応をみると、おおむね好意的に受け止められたようである。

結果として、キャセイパシフィック航空がエラー運賃によって被った損害をはるかに上回る利益をもたらしたのではないだろうか。

かつて、アメリカ合衆国運輸省(DOT)は、エラー運賃であったとしても、いったん客が購入した航空券の金額を、後で航空会社が引き上げることを禁じていた。しかし、2015年5月、DOTはエラー運賃については購入後の価格引き上げを認めるようになった。それ以降は、キャンセルされる事例が増えている。

たとえば、2019年1月5日には、マレーシア航空のミスにより、ハノイ発ドバイ行き(復路はペナン島)のエミレーツ航空ファーストクラスが997ドル(約11万円)というエラー運賃で発売されたが、これは後に無効となった(ただし、購入者にはマレーシア航空のエコノミークラス航空券が無料で提供されることが発表された)。

さらに、キャセイパシフィック航空は、元日の「大事件」から2週間も経たない2019年1月半ばに、通常なら1万6000ドル(約176万円)するポルトガルのリスボン発香港行きのファーストクラスを「入力ミス」によって1512ドル(約16.6万円)で販売するというエラーを再び犯してしまった。これについては再び有効と判断された。

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