「エラー運賃」を航空会社が多発させる事情

ファーストクラスが9万円で販売されていた

なぜこのようなエラー運賃が続発してしまうのだろうか。

かつてはいったん航空会社が運賃を確定すると、その運賃で一定期間売り続けていた。だが近年において、航空会社はあらゆる時期・区間の航空券について、ビッグデータを用いてきめ細かい価格設定を行い、利潤最大化を追求するようになっている。

そのため、需要と供給のバランスに応じて、航空会社は頻繁に運賃を変えるようになった。それに伴いヒューマンエラー(人為的ミス)が起き、エラー運賃が発生しやすくなっている。

為替レートの計算ミスやケタ間違い

かつてアメリカのユナイテッド航空が本来4000ドル(約44万円)するファーストクラスのチケットを79ドル(約8700円)で売り出したことがあった。これは同社が委託していた外部の業者がデンマーククローネとイギリスポンドの為替レートを誤って入力したことが原因だったことが明らかとなり、その後、この運賃は無効となった。

また、サンフランシスコ発オークランド(ニュージーランド)往復のビジネスクラスが1500ドル(16.5万円)で売り出されたことがあった。これは1万5000ドル(約165万円)のはずだったが、0を1ケタつけ忘れたために価格が本来の10分の1になってしまった。こうした運賃のことをファットフィンガーフェア(太い指が本来押すべきでないキーボードを押してしまうことから引き起こされるという意味)と呼ぶこともある。

もう1つの理由として考えられるのが燃油サーチャージの付加にともなうミスである。2カ月おきに変わる燃油サーチャージを修正するたびに、エラーが発生するリスクがある。

こうしたエラー運賃は航空運賃だけに発生するわけではない。たとえば2018年9月、ボストンのホテル「アロフト ボストン シーポート」が1泊2ドルで売られていたことがある。通常は2万円ほどするので、ほぼ相場の100分の1である。0を2ケタ入れ忘れたと推定される。

近年になり、エラー運賃が発見されやすくなっていることもエラー運賃が「増えている」ことの背景にある。たとえばグーグルフライトでは、特定の国からの各地への航空運賃を自動的に表示する。そのため、検索した人が極端に安い目的地を容易に発見することができる。

こうした情報が世界最大規模の航空旅行掲示板のフライヤートークのPremium Fare Dealsやシークレット・フライングなどのサイトやツイッターなどを通じて急速に拡散していくのだ。

エラー運賃を購入することは倫理的に妥当なのだろうか。エラー運賃についての英語圏での記事や掲示板をみる限り、こうしたことについての議論はそれほど多くないようだ。エラー運賃を出した航空会社の責任であるという見方のほか、それがエラー運賃なのか、それともセール運賃なのか、客には判断しづらいということもある。

なぜならば、航空会社がひっそりと告知なく(エラー運賃ではなく)非常に安いセール運賃を販売することがありうるからだ。ただし、相場よりもあまりにも安い場合や、発売したにもかかわらず、すぐに発売を取り消したことから、事後的にエラー運賃の可能性が高いと判断しているにすぎない。

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