「しわ・たるみ」による表情誤解で生じるすれ違い 高齢化で若者とのコミュニケーションが困難に
企画会議や営業などで役員の方々を前にプレゼンするとき、その面々は、概ね、50~60歳オーバー。顔に目を向けると、眉間にはしわを寄せ、唇は一文字に結んでいる……ように見える。何か気に障ることを言ってしまったか、考えているだけか。
若い世代にとって、上の世代、とくに高齢者の表情を読むことは難しいといえます。一方、高齢者世代は、「若者に自分の気持ちが届いていない」と感じることも少なくないでしょう。
本稿は、表情分析の知見から、世代間のミスコミュニケーションを防止する方法を紹介したいと思います。そのためには、高齢者に特有の表情を理解することが第一です。若者は、高齢者の心情を理解しやすくなり、高齢者(近い将来、高齢者になる方を含め)は、意図とは異なるメッセージを若者に伝える可能性を低くすることができるでしょう。
しわやたるみがつくる印象
ここで1つ目のクイズです。次の男性・女性は、どんな表情でしょうか?
高齢者の表情を読むのが難しい主な原因は、しわ・たるみの増加や表情筋の衰えの2つ。つまり、加齢に伴い生じるしわやたるみが、何らかの表情に似る、表情の表出を覆い隠すのです。あるいは、表情を動かす力が衰えることで、表情がわかりづらくなるとも考えられています。
高齢者の顔に刻まれたしわや加齢によって生じるたるみの中には、何らかの表情に似ているものがあります。例えば、口角が下がった形をしていれば、悲しみ表情をしているように見える。眉間にしわが刻まれていれば、怒り表情をしているように見える。目尻にしわがあれば、幸福表情をしているように見える。
何の表情をしていなくても、こうした誤読を生む可能性が指摘されています。さらに、しわやたるみが顔の印象にバイアスをもたらすことで、表情が変化しても、そのバイアスに影響され、表情を正しく読むことを困難にしているとも指摘されています。
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