「しわ・たるみ」による表情誤解で生じるすれ違い 高齢化で若者とのコミュニケーションが困難に
実験の結果、次のことがわかりました。若者の表情写真に比べ、若者を高齢者の顔に見えるように加工した表情写真の正答率は、16.2%低下しました。これは、しわやたるみの影響であると考えられます。
また、若者の表情写真に比べ、高齢者の表情写真の正答率は、50.9%低下しました。これは、しわ・たるみ・表情筋の衰えの影響であると考えられます。
ところが、若者の表情写真に比べ、高齢者を若者の顔に見えるように加工した表情写真の正答率は、74.8%低下しました。これは、表情筋の衰えの影響であると考えられます。したがって、しわ・たるみ、表情筋の衰え、そのどちらも高齢者の表情の読みとりを困難にする原因となりうるものの、表情筋の衰えの影響のほうが、はるかに大きいことがわかります。
世代間ミスコミュニケーションを防ぐために
この結果から思うことは、高齢者(近い将来、高齢者になる方含め)は、意図どおりのメッセージを若者に伝えるために、表情筋を鍛えることが大切であるといえるでしょう。表情筋を鍛えることには、副次的な効果もあります。私たちは、「楽しいから笑う」だけでなく、「笑うから楽しくなる」という表情から感情へ働きかける、表情フィードバックと呼ばれる機能を持っています。したがって、表情筋を豊かに動かすことで、この感度が高まると考えられます。日々、ご自身の表情を動かすことを意識することで、ミスコミュニケーションの頻度が減り、心も若返る。一石二鳥です。
一方、高齢者の表情を読みとる側ができることは、しわやたるみのバイアスを意識しつつも、表情筋の動きが弱いということを前提に、高齢者の表情を読む、ということです。
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