アメリカが「プーチンの弱体化」に危機感抱くワケ アメリカ政府関係者が最も懸念していること
アメリカの政府関係者は1年以上前から、公に問うわけにはいかない問いを密かに自問してきた。それは、ロシアによるウクライナ侵攻の失敗は最終的にウラジミール・プーチン大統領の失脚につながるだろうか、というものだ。
この考えは、週末の混沌とした不可解な数時間の間はそれほど突飛なものとは思われなかった。しかし、エフゲニー・プリゴジン氏の傭兵軍団の反乱による差し迫った脅威が終息したように見えるとはいっても、この短時間に終わった反乱は、プーチンの権力掌握力が20年以上前の就任以来のどの時期よりも弱くなっていることを示唆している。
無防備なプーチンが何をしでかすか予測不能
おそらくウクライナ侵攻の初期以来最も不安定な瞬間であったこの反乱の余波は、アメリカのジョー・バイデン大統領と政策立案者らにチャンスと危機の両方を与えた。折しもウクライナ軍が待望の反転攻勢に出ている中で、ロシア国内の混乱は同国の戦争活動の崩壊につながる可能性があった。
一方でワシントンの政府関係者は、予測不可能なうえ核を持っているプーチンが、自身が無防備だと感じて何かしでかす可能性に戦々恐々としていた。
「アメリカにとって、ロシアの注意が分散するという意味で好都合だ。それにより、ロシアのウクライナにおける軍事活動は弱体化し、シリアなどにおいて新たな問題を扇動し続ける可能性は低下するだろう」。そう指摘するのは、マケイン国際リーダーシップ研究所のエグゼクティブディレクターで元アメリカ国防総省幹部のイブリン・ファーカスだ。
「我々が主に気にしているのは、正規軍がすべての核関連施設を依然として掌握していることが確認されるかどうかだ」