アメリカが「プーチンの弱体化」に危機感抱くワケ アメリカ政府関係者が最も懸念していること
さらに、プーチンは24日の危機が展開する中で行った国民向け演説の中で、その状況を1917年になぞらえた。第一次世界大戦の戦況が悪化する中、最後の皇帝の政権が崩壊した年だ。
この比較は、同大統領が国に対する掌握力を失いつつあるというイメージを強めただけだった。そして、プリゴジンを潰すと脅迫したわずか数時間後に同氏と取引したことで、自身がもはやロシア領内での武力行使に対する独占的な支配権を持っていないという現実を強化してしまった。
プーチン体制の崩壊は危機をもたらす
ワシントンのヨーロッパ政策分析センターの代表であるアリナ・ポリャコワは、「1つはっきりしているのは、プーチン大統領が非常に弱く見えることだ」としながらも、プーチン政権の崩壊は危機をもたらすだろうと指摘する。
アメリカとその同盟国は「ウクライナ支援に集中しつつも、起こりうるすべてのシナリオに対する計画を立てるべきだ。それには、プーチン体制の崩壊、そしてウクライナ戦争に関してより残酷で自制の効かない強硬右派による政権奪取の可能性が含まれる」。
政策立案者らは、プーチン大統領が権力の座を維持すると仮定しても、追い詰められたと感じればより常軌を逸した行動に出る可能性があると懸念している。
「プーチン大統領の弱さはより危険な行動につながる」。そう指摘するのは、かつてドナルド・トランプ前大統領のもとで駐ロシア大使を務めたジョン・ハンツマン・ジュニアだ。「プーチン大統領の『無敵状態』に新たなさざ波が生じており、それはあらゆる角度からつけ込まれるだろう」。