アメリカが「プーチンの弱体化」に危機感抱くワケ アメリカ政府関係者が最も懸念していること
ロシア内部の対立は、アメリカの武器提供者や情報機関当局者と連携して侵略者を領内から追い出そうと努めているウクライナにとっては、待望の反転攻勢が遅いスタートを切る中、一息つく間を与える歓迎すべきものとなった。
カリスマ的指導者のプリゴジン率いる傭兵組織ワグネルグループは、戦場において最も実働力のあるロシアの軍隊と見なされていたが、同氏がおそらく亡命のためにベラルーシに向かう一方、ワグネルはロシア国防省に吸収されることになったため、もはやこれまでのような残忍な軍隊ではなくなるかもしれない。
プリゴジンの反乱が意味すること
アメリカの情報によると、ウクライナにとっては不運なことに、プリゴジンの反乱はロシアの主要部隊がモスクワ防衛のために前線から撤退する前に終わった。しかしアメリカ政府関係者は、この抗争をきっかけに、戦争の大義や指導部の能力についてすでにロシア軍の間に広がっている疑念が高まるだろうと見込んでいる。
そして、プリゴジンは力を失っており、若い頃のホットドッグ屋に戻るだろうなどと考えている者はほとんどいない。同氏はまだ切り札を持っているとアメリカ政府関係者は見ている。
実際、元NATO大使で元ウクライナ特別代表のカート・フォルカーは、モスクワへの進軍は取引によって頓挫したとはいえ、プリゴジンの反乱は戦争とプーチンの地位の終わりの始まりを告げるものだと指摘する。
「逆転を信じてはならない」と同氏は言う。「これはポジショニングだ。プリゴジンはさらなる支援を集めたり要求をしたりしながら、ロシア国民の英雄として見られたがっている。国は彼を追うだろうが、それは『仕方なく』自衛するという同氏の口実に利用される可能性がある」。
フォルカー氏が言うように、事態は「まだまだ予断を許さない」だろう。
(執筆:Peter Baker記者)
(C)2023 The New York Times
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