同志社大学・太田肇教授の新モチベーション論(第2回)--表彰を楽しんだら経営好転
売り上げを復活させた店舗には、「V字回復したで賞」。
競合店と徹底的に戦ったお店には、「これからも戦い続けま賞」。
お客さんが殺到し、結果的にお客さんを待たせてしまったら「お客さん待たせすぎで賞」。
衣料品・雑貨の販売を行う会社、ヒューマンフォーラム(京都市)にはユーモアにあふれた賞がたくさんある。ただ、これらは制度として決められたものではなく、社員を楽しませるためそのときどきに作られた賞だ。
それらとは別に、継続して与えられている賞も設けられている。
その1つが「ミステリーツアー」だ。同社のスタッフが身分を隠して全国の店舗を回り、その店の接客態度や売り場の雰囲気などをチェックする。その結果、評価の高かった店舗を表彰するのだ。
もう1つは、春夏秋冬というシーズンごとの売上げを競い年間総売り上げを競う「年間総合売上げダービー」。「HF売上げダービー」はシーズンごと、つまり3カ月に1回表彰式を開き、そのうちの1回は「年間総合売上げダービー」の表彰をする。
ところで、同社では社員だけでなくアルバイトも大きな戦力になっている。アルバイトがいなければ経営が成り立たない、といってもよい。そのアルバイトを対象にした賞もある。
3カ月に1度、頑張っているアルバイトスタッフを海外出張に行かせ、現地でバイヤーの勉強をさる「弾丸バイヤーズ」。これは、以前、マスコミでも話題になった「世界を飛び回る弾丸トラベラーズ」を模したものだという。各自が現地で撮影したビデオを帰国後、バラエティ風に編集して社員の前で発表することになっている。
できるだけたくさんのチームや店舗を表彰
こうした表彰制度を取り入れたのは社長、出路雅明さんの経験によるところが大きい。