また取材時には面白い光景が見られた。
JR南口改札側の路上ライブが警察により演奏がストップしているのに対して、道路を挟んだバスタ新宿側では、しばらく路上ライブが続いていた。
これは警察の管轄違いによるもので(新宿南口側は新宿署、バスタ側は原宿署)一時は横断歩道を渡ってどちらも注意して回っていたこともあったようだが、いまは所轄の警察がそれぞれ駆けつけるため、このような現象になっているようだ。
「路上ライブの健全なあり方」なのか
騒音という点では、アンプの存在も大きい。
新宿南口のミュージシャンは、ほぼ全員といっていいほど、路上用の小型アンプを持ち込んでいる。これはかなり性能がよく、ギターはもちろん、マイクにもつなげボーカルも大きく周囲に届くようになる。
最近ではポータブル電源につなぎ出力するので、さらに音圧は大きくなる。
平日はさほどでもないが、土日ともなればわずか2~3メートル隣にミュージシャンが陣取って演奏するため、音量は次第に大きくなる。
「音が重なり、余計に騒音となる」という悪循環となっているのが現状だ。当日の天候、風などによっては、かなり遠くまで聞こえるときもある。
取材をしていたある土曜日は17時に確認しただけで6組ものミュージシャンが演奏しており、もはや音楽を聴くという状況ではなかった。
新宿区に寄せられた苦情の中には、これまではある程度、我慢できていたので何も言わずにいたが、さすがにここ最近は限界を超えたので言わざるをえないという意見もあったそうだ。
「一線を越えた」わけである。逆に言うと、それまでグレーゾーンの領域にあったのもまた事実だ。
通報の頻度も低く、警察による取り締まりもさほど厳しくないときもあったが、いまは苦情の通報も多く、警察による取り締まりもかなり厳しくなった。演奏準備中に注意される姿も見受けられる。これが今の新宿南口の姿である。
「路上ライブ禁止」の横断幕の前で日々歌い、演奏するミュージシャン。そしてそれを応援するファン。通報を受けて、演奏を止める警察。苦情を寄せる人々。
毎日のように繰り広げられるこの攻防戦に、終わりはあるのか。明らかに健全な状態とはいえないだろう。
けれども、そのカオス感がこの地に熱気を帯びさせているのも、また理解できる。そして演奏を聞けば、ミュージシャンたちの本気度はおのずと伝わってくる。
できるならば、きちんとしたルールのもとミュージシャンたちが堂々とこの地で演奏することはできないだろうか。
今こそ、新宿南口の路上ライブについて、さまざまな角度から考えねばならないだろう。
*この記事の第2回目:歌舞伎町タワー「路上ライブ開放」は超画期的だ
*この記事の第3回目:「路上ライブを公認!」"柏ルール"に学ぶ3つの視点
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