では、この新宿南口近辺の現状を、新宿区はどう考えているのだろうか。今回、「音量」という観点から新宿区環境清掃部環境対策課の課長に聞いてみた。
「もちろん現状は把握しています。区にも『うるさいので何とかしてほしい』と多くの苦情が寄せられております。そのうえで皆さんに考えていただきたいのは、迷惑になっている近隣住民、地域の方々がいるということです」
当然、そこに住んでいる人たちがいる
路上ライブがなぜ問題となっているのか、その理由は「迷惑を受けている人たちがいる」からである。
そう、路上ライブにより生活や商売になんらかの支障をきたしている人々がいて、苦情を寄せているのだ。
歌舞伎町のような繁華街や高層オフィスビルが立ち並ぶ新宿駅周辺だとなかなか想像しにくいが、当然、そこにも住んでいる人たちはいる。
もしかしたらその時間、寝ている人たちがいるかもしれない。住人だけでなく、商談に使われるような物静かな感じの喫茶店であれば、漏れ聞こえる路上ライブの音は騒音となるだろう。だからこそ問題になるのだ。
そもそも、新宿駅という巨大ターミナル駅周辺は電車の通過音や自動車などの音、雑踏の音や工事音など、さまざまな音が出ている。それに加えて、時間帯によっては、アンプを通しての音が遠くまで届いている。
「東京都の規制ガイドラインにより、音量調査は行っております。駅周辺の暗騒音を除いても、路上ライブでアンプから出る音は、いずれも基準値を上回り規制されるレベルです。区としては警察と連携を取り、不定期に巡回しながら注意を呼びかけています」
暗騒音とはこの場合、路上ライブ以外での駅周辺すべての騒音のことを指す。
いま現在、新宿区としては確固たる対策手段があるわけではないという。ひとつ強調していたのは、今回の記事が考えるきっかけになってほしいということだった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら