新宿駅南口「路上ライブ"禁止でも聖地"」驚く現実 「過熱の先にあるのは…」衝撃の最新事情を解説

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改めて「路上ライブ禁止の場所で行っている」ということを、ファンやミュージシャンは、どう考えているのだろうか。音楽を聴いていたファンの多くは、この質問になると「難しいですよね……」とみな一様に口をつぐんだ

ミュージシャンも「人による」といった印象だ。

「注意されたらやめるので!」と強気な人から、ある女性アーティストは「本当はちゃんと許可もらってやりたいんですが、とれないですし……。ほかだと人も集まらないし、ここが一番いいんです」複雑な心境を明かしてくれた。

開き直り、とまではいかないが、「みんなやっているから」と強気なミュージシャン、警察に注意されるリスクを承知で歌うミュージシャンまでさまざまな印象だ。

それぞれの立場やキャリアによっても、これは違うのだろう。

ファンもミュージシャンも「警察との慣れたやりとり」

ミュージシャンもそうであるが、囲むファンも慣れたものである。

「警察はたいてい奥のほう(東南口)から声かけていくから、向こうの演奏が止まったら、こっち側もすぐに声をかけて演奏を辞めるんですよ。もちろん、すぐに気がつかないときもあるけど、たいてい早くにわかりますから」

あるファンがこう教えてくれた。

何よりも、ミュージシャンがある種、これほど強気で演奏を続けられるのは、よほど悪質でない限りは逮捕されることがないということだろう。

「通報→口頭注意→撤収」という一連の流れがある種のお約束のようになっているわけだ。

警察に注意されると、ミュージシャン本人か代表者が警察の書類にサインする。そして口頭注意を受け、広げていた機材の片付けに入る。

だが、見ていると、一定数のミュージシャンは注意され機材を片付けたあとも、その場にとどまっていた。そして、30~60分ほどほとぼりを冷ました後、当たり前のように演奏を再開していた。

さすが1日に2回目の注意となると場所を移動するなり完全撤収するなりするようだが、それでも注意で済んでいるのが現状だ。

ミュージシャンもしたたかといえば聞こえはいいが、確信犯的なところも否めない。このコロナ禍においても、新宿南口での路上ミュージシャン逮捕の事件は確認できていない。

もうひとつ、通路を占用しての販売行為も違反となるわけだが、実際ミュージシャンたちの中にはCDや主催・ワンマンライブのチケット、ステッカーなどを販売している人も多い。

ゆえに今後、あまりにも悪質な演奏や露骨な販売があれば、逮捕者が出る可能性も十分にあるだろう。

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