JR室蘭本線に登場した新型列車はどんな仕様か? ほんのり桜色の737系、室蘭ー苫小牧間で運転

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修学旅行の増結により8両編成になった261系「北斗」を待避する737形。 261系先頭部の白と比べると色を帯びていることがわかるが、実際にはほんのりと上品な色彩(写真:塩塚陽介)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2023年8月号「室蘭本線に新型電車登場」を再構成した記事を掲載します。

新千歳空港に飛んだ日の午前、出発列車も到着列車も盛況な快速「エアポート」から南千歳で普通に乗り換え、苫小牧に向かう。雨模様だったが北海道の新緑は透明感にひときわ長け、美しい。千歳線普通列車は千歳以南で本数が減り、おおむね1時間以上の間隔となる。

「エアポート」から一転してガランと空いた733系電車で北海道らしい景色を眺めながら沼ノ端を前に室蘭本線に合流すると、苫小牧に到着する。駅と直結する歩行者通路からは留置線が見下ろせて、これから乗車する新車737系2編成と、引き替えにこれまで架線下で営業していたキハ143形気動車数編成が並んでいた。

JR北海道の電車としては初のワンマン仕様

新車として誕生した737系電車は、ワンマン運用を引き継ぐため、JR北海道の「電車」としては初のワンマン仕様で、そのため従来形式の3両構成を改めた2両編成である。今年1月に姿を現し、試運転を経た7編成14両が5月20日から営業運転を開始した。室蘭―苫小牧間の普通列車の約8割が737系電車となり、再び電化設備がしっかり利用されることとなった。機器構成に機械部品が多い気動車は概してメンテナンスコスト、ランニングコストが高いので、最新の電車としてそれが引き下がる効果も大きい。動力費は年間4500万円の削減を見込むと言う。キハ143形2両編成に比べてCO2排出量が72.4%の減となることも、現代におけるアピールポイントとなっている。

パラパラと帰宅高校生の利用が見られる途中のローカル駅。薄暮になってくるとLEDランプの前照灯が眩しく光る(写真:塩塚陽介)

なお、737系の導入計画としては函館本線にも6編成12両が予定され、その車両の搬入も5月から始まっており、合計で13編成26両となる。函館本線のどこに入るかは未公表だが、2両ワンマン運転が求められる区間となれば、おのずと答えは見えてくるものだ。

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