阪急が参画表明、日本と「マニラ都市鉄道」の40年 「オールジャパン」の限界露呈した建設の歴史
安倍政権のもと「オールジャパンインフラ輸出」が叫ばれていた2016年、とある日本タイドの円借款案件に日本企業が入札しないことが話題になった。
2013年にL/A(借款契約)調印(約432億円)されたフィリピンの「マニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張事業」のうち、LRT1号線に対する4両(2連接×4)編成30本の車両調達パッケージだ。
これ以降、車両、土木問わず、日本企業が入札に応じないという例が各地で発生するようになり、「オールジャパン」神話が崩れた時とも言える。
「オールジャパン」の限界と新たな動き
同事業には本邦技術活用条件(STEP)が適用されており、日本企業が優先的に参画できる。「我が国の優れた技術やノウハウを活用し、開発途上国への技術移転を通じて我が国の『顔が見える援助』を促進するため」に2002年から導入された制度だ。
再入札の末、2017年11月に三菱商事が受注、日本製(三菱電機)の機器を採用しつつ、スペインの車両メーカーであるCAF製車両を導入することで決着がついた。しかし、車両基地建設業者の選定遅れ等もあり、当初予定されていた2020年の1号線延伸開業は結果的に延期されることになった。
フィリピンの首都、マニラへの都市鉄道整備の歴史を振り返れば、「オールジャパン」などという言葉は幻想に過ぎないということがよくわかる。予算的にも制度的にも日本が全てやるということはあり得ない。そして、日本が全てをやろうとすれば、それだけリスクが大きくなる。従来の日本式ODAの限界が見えてきた。
一方、5月上旬には阪急電鉄とJICAがLRT1号線事業への参画を発表。新たな動きも生まれている。
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