「インドネシア国産電車」に見る日本企業の存在感 中古車や新造車両に東洋電機製造の機器搭載

「ポスト中古車両時代」の幕開けにふさわしい車両の登場だ。インドネシア通勤鉄道会社(Kereta Commuter Indonesia:KCI)の国産新型通勤電車が4月下旬、中部ジャワでの試運転を経て、ついにジャカルタに姿を現した。
これは、2023年3月に国営鉄道車両製造会社(INKA)とKCIの間で契約された12両編成16本・192両(契約額は約3.83兆ルピア)のうちの1本目で、INKAによると2025年内に8本程度が落成する。アフターコロナの車両不足を短期間に補うため、KCIでは国産車両導入とともに緊急的に輸入による車両調達も進めており、中国メーカーの中国中車青島四方が製造した車両も年内に11本導入する。
「日本仕様」の国産新型電車
折しも2025年4月でインドネシアの鉄道は電化100周年の節目を迎え、4月22日にジャカルタコタ駅で実施された記念式典は、国産と中国製の新型車両のお披露目の場となった。待望の新車登場は、歴史の1ページに花を添えた。
ジャカルタ首都圏の鉄道は1970年代以降の政府開発援助(ODA)による設備改良と車両導入、そして2000年以降の中古車導入と、日本と密接に関わってきた。しかし、国産新車の登場でインドネシアと日本の鉄道産業界の関わりが途絶えるわけではない。INKA製国産通勤電車CLI-225型には、日本の設計思想や技術がふんだんに盛り込まれている(2025年4月5日付記事『実は日本技術の結晶「インドネシア製電車」の中身』参照)。
それだけではない。前面デザインを見れば、明らかに山手線などを走るE235系のオマージュであり、車内のつり革も山手線のタイプにそっくりだ。
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