「インドネシア国産電車」に見る日本企業の存在感 中古車や新造車両に東洋電機製造の機器搭載
鉄道の海外輸出というと車両メーカーが注目されがちだが、プロパルジョンと呼ばれる電車のシステムを供給する電機メーカーは必要不可欠な存在で、鉄道システム輸出の隠れた主役である。インドネシアで存在感を示しているのが、日本の電機メーカー、東洋電機製造だ。
同社は1918年創立。鉄道車両用電機品などの交通事業が売り上げの約7割ほどを占め、同社製品は新幹線を含むJR各社や大手私鉄から地方私鉄、路面電車まで幅広く採用されている。インドネシアでの展開は、日本の中古車両が大量に輸出されたことで、車両に搭載された製品が一緒に「輸出」されたことが追い風となり、メンテナンスパーツや予備品供給においてKCIとの取引が始まった。
2018年からJR東日本の元武蔵野線205系5000番台(8両編成36本)が輸出されると、同社製のVVVFインバーター装置も車両と共に大量に「輸出」された。また、同時期には日本のODA案件であるMRTジャカルタ(地下鉄)向けの制御装置、主電動機、パンタグラフを車両製造元の日本車輌製造に納入している。

国産新車の電機品一式を受注
そして今回、インドネシア国産通勤電車CLI-225型192両の電機品一式(VVVFインバーター装置・主電動機・補助電源装置・歯車装置・パンタグラフ等)を受注した。約55億円という大型案件だ。これにより、インドネシアのVVVFインバーター制御車両の大多数が同社製品を搭載している状況になった。

また、パンタグラフも日本でのシェアが高いことから、結果的にインドネシア在来線を走る電車のパンタグラフも多くが同社製品となっている。中古車だけでなくINKA製車両でも、ボンバルディア(当時)との共同受注で2017年に製造されたジャカルタ・スカルノハッタ空港鉄道用車両、ドイツ借款にて製造されたKFW型電車に対する改修案件(2019~2020年)に東洋電機製造のパンタグラフが採用されている。
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