「インドネシア国産電車」に見る日本企業の存在感 中古車や新造車両に東洋電機製造の機器搭載

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――車輪と車軸については中国メーカー(太原重工)が受注しています。主電動機や歯車装置の組み立てはどのように対応しているのでしょうか。

過去に別の中国メーカーと取引があったので、同じような形をとった。車軸の素材にギアとギアケースをはめていかなければならない。よって、車輪・車軸は一旦、中国から当社へ支給され、組み立ての上でインドネシアに出荷する。

その際、支給品の品質が当社組み立て作業に影響しないよう(支給品メーカーと当社間に契約関係はないが)、メーカーに出向いて出荷前の状態を確認し、こういう状態であれば私どもの方に発送していいということを打ち合わせして、当社に支給品が届いた段階ですぐに作業に取りかかれるようにした。

CLI-225型 配給輸送
中部ジャワでの試運転を終え、ジャカルタに配給輸送されるCLI-225型のうち前6両(筆者撮影)

技術移転はどう進めるか

――INKAは技術移転を求めていますが、人材を派遣して、現地で教育を行うのでしょうか。

10本目までは完成品を出荷し、残りの6本のうち一部は現地でのノックダウン生産となる。当社から主要部品を供給して、現地で装置として組み立て予定である。主電動機、歯車装置は全数当社の製作となる。5月までに9割ほどの出荷を終える。技術移転契約も締結(約6億円)し、組み立てに必要な技術指導や設備納入、装置として完成した際の試験要領の指導などを日本、インドネシアで実施している。

箱の中の配線や電線を現地で調達し、電線の両端に端子をつけたり、コネクターに組み込んだりとか、非常に細かい作業をINKA側で実施する。そのほか試験機も輸出し、現地で作れるものは作ってもらっている。その使い方やデータの取り方なども技術移転に含まれていて、品質の確認を行えるようにしている。

――主要装置の設計諸元を差し支えない範囲で教えてください。試運転時に走行音を聞いたところ、日本の同世代のIGBT VVVFインバーター制御車とは異なる感じの起動音がしたが、何か理由はあるのでしょうか。

VVVFインバーター装置は4M1C方式で編成に6台搭載している。SIVは12両編成に4台搭載と多くなっている。エアコンの編成当たりの容量が日本の標準的通勤電車の倍近い搭載量になっているので、その影響だと思われる。

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