JR東日本が変えた「ジャカルタ通勤鉄道」の10年 初代現地出向者に聞く海外鉄道ビジネスの現場

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205系 メルヘン KCI
今やジャカルタ首都圏の顔となった205系。東南アジア最大のモスク、イスティカルをバックに通称”メルヘン”スタイルの車両が行く=2024年1月(筆者撮影)

1日利用者数が約100万人にも及ぶインドネシア・ジャカルタ首都圏の通勤鉄道(Kereta Commuter Indonesia:KCI)。

その輸送を支える、日本から渡った約1000両の中古電車のうち約8割強が、2013~2020年にかけて譲渡された元JR東日本の埼京線・横浜線・南武線・武蔵野線の205系車両である。今年2024年3月5日、205系はジャカルタで走り出してから丸10年を迎えた。

かつて中古車両は「10年走れば御の字」と日本側からも言われたほどで、実際に2000年代初頭から導入されていた他社車両は15年ほどで使い潰されるのが実態だったが、205系はジャカルタの通勤輸送を支える主戦力として活躍し続けている。これは車両を送り出したJR東日本とKCIの協力体制の賜物だ。

JR東日本からKCIへの初代の出向者として、2015年から約2年半、現場の最前線で活躍した前田健吾氏(現・同社鉄道事業本部モビリティ・サービス部門未来創造ユニットリーダー)に、この10年間の振り返りと、JR東日本の海外事業の中核にもなりつつあるインドネシアでの今後の戦略について聞いた。2回に分けてインタビューをお届けする。

【写真】205系が導入される前のジャカルタの通勤風景。インドネシアに降り立った元南武線の205系など(18枚)

10年で大変貌したジャカルタの鉄道

――ジャカルタで毎日KCIを利用していますが、JR東日本の支援がなければ今の状態はなかったと思います。8両編成だったのが10両、12両になって、冷房もちゃんと利いてドアも閉まって。非常に快適になりました。

最初の205系が行った(搬入された)のは2013年11月。その前に屋根上まで人が乗っているというのはだいぶ一掃されていた。変化としては、当時の国鉄(KAI)総裁、ヨナン氏の存在が大きかった。

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