国鉄形が復活、「455系観光急行」はなぜ人気か? わかる人しかわからないが、わかる人は案外多い

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市振方先頭車が急行形の姿を色濃く残すクハ455-701。種別表示と各種愛称のヘッドマークで往年を再現(有間川ー谷浜間、写真:山井美希)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2023年2月号「455系国鉄形観光急行の舞台裏」を再構成した記事を掲載します。

昭和の鉄道旅行を蘇らせるえちごトキめき鉄道の「455系観光急行」は土休日に直江津―糸魚川・市振間に運転されるが、朝は平日のET127系普通電車の肩代わりをする快速として、直江津から妙高高原を1往復する。

その日、先頭を飾るヘッドマークは「くずりゅう」だった。午前中、順光の妙高山をバックにした姿を撮影するには前泊を必要とする。そうすれば宿泊や飲食で地元にも貢献できるという、仕掛け上の綿密な計算がある。一方、そうした外の様子を眺める車内は、455系目当ての「びゅう」団体を合わせて仲間同士でボックス座席を埋め、近郊仕様のロングシートにもはみ出している。今や455系観光急行は、“トキ鉄”のシンボル「雪月花」に匹敵するほどの営業実績を上げる。

廃車を地元の3セクが購入し、往年の姿に

この列車は、妙高高原・市振方先頭車からクハ455-701、モハ412-6、クモハ413-6の3両編成。後ろ2両は新製車体に流用機器を取り付け改造した近郊形の413系だが、先頭のクハ455は457系サハ455形の先頭車化改造車で、車体更新を受けていないため前面形状は国鉄急行形そのものである(車内は改装)。

いずれもJR時代の晩年は七尾線の普通列車用であり、2021年3月に521系への置き換えにより廃車となった。この車両をえちごトキめき鉄道が購入した。譲り受けたのは七尾線B6編成のクハ412-6、モハ412-6、クモハ413-6とB4編成のクハ455-701の計4両で、JR西日本金沢総合車両所で再整備のうえ、七尾線カラーの茜色を国鉄急行形交直流電車の塗色(赤13号+クリーム色4号)に改め、同年4月9日に直江津のトキ鉄車両基地に輸送された。ここで保安装置の整備等とともに、クハ412とクハ455の差し替えを行い、7月4日から営業を開始した。

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