在来線で時速160km運転を実現「681系」の功績 鉄道の「スピード史」を語る上で外せない名車
2022年5月22日にJR西日本と日本旅行が企画した吹田総合車両所見学ツアーが開催された。ツアーでは工場内の屋内撮影や解説、検査入場している車両や入換用の事業用車クモヤ145形の展示の他、廃車予定の車両が展示された。この中には681系先行試作車クロ681-1001もあった。
クロ681-1001は今年度中に廃車が予定されているという。この681系先行試作車だが、JR西日本の特急車両の歴史を語る上で外すことができない存在である。
681系先行試作車誕生の背景
681系は北陸本線の特急のスピードアップのため、1992年7月に先行試作車9両が製造された。681系の開発当時、北陸本線・湖西線では485系「雷鳥」「スーパー雷鳥」を運行。湖西線内及び北陸トンネル内の最高速度を従来の時速120kmから時速130kmに引き上げて、所要時間の短縮を図っていた。
485系が時速130kmでブレーキをかけてから完全に停止するまでの制動距離は600mを超えており、非常ブレーキをかけてから600m以内に停止しなければいけないという当時の「600m条項」に抵触していたが、踏切がない湖西線と北陸トンネル内に限り特認したものであった。
681系は制動性能を強化して時速130kmの制動距離を600m以内とすることで、全区間での時速130km運転を可能とし、所要時間のさらなる短縮を図った。さらに湖西線・北陸トンネル内の最高速度を時速160kmに引き上げることを視野に入れており、主電動機の出力は245kWを発揮した。また基礎ブレーキ装置にキャリパブレーキ(車輪ディスクブレーキとブレーキキャリパを使用したブレーキ)を採用したのも、時速160km運転を考慮したものだった。
車体は普通鋼を基本として軽量化を図るため高耐候性圧延鋼材を適用。屋根や台枠にはステンレス鋼を用いた。先頭部は非貫通の流線型とし、連結器も格納式としてカバーするという徹底ぶりだった。重心も低くしており、半径600mまでの曲線区間を本則(曲線制限速度)+時速15kmで通過することができる。
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