在来線で時速160km運転を実現「681系」の功績 鉄道の「スピード史」を語る上で外せない名車

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681系先行試作車による時速160km速度向上試験は1992年10月から実施され、成功を収めた。しかし、同年12月から始まった「雷鳥」での営業運転では最高速度を時速130kmにとどめた。

681系の量産車は1995年に登場。量産車は七尾線への乗り入れを考慮して6両基本編成と3両付属編成に分けることとし、連結側の先頭車は貫通形高運転台とした。

合わせて先行試作車の量産化改造を実施して、区分番代を1000番代に変更した。なお、量産化改造当初は9両編成のままだったが、2001年9月に中間車に運転台取り付け改造を行い、量産車に合わせた6両+3両に改めている。

時速160km運転の実現へ

681系を使用した「スーパー雷鳥(サンダーバード)」は1995年4月20日から運転を開始。1997年3月22日から列車名を「サンダーバード」に改めているが、最高速度は現在に至るまで時速130kmのままである。

681系先行試作車は量産化改造され、681系量産車や683系とともに北陸本線「サンダーバード」を中心に活躍した(筆者撮影)

一方、1997年3月22日の開業へ向けて建設工事が進められていた北越急行ほくほく線は上越線の六日町と信越本線の犀潟をショートカットする立地条件を活かし、越後湯沢で上越新幹線に接続して北陸を結ぶ特急の運行を計画していた。この特急による時間短縮効果を最大限に発揮させるため、ほくほく線は高規格で建設し、最高時速160kmでの運転が計画された。

北越急行は時速160km運転に681系を使用することとし、1996年に681系2000番代を新造。同年9月からほくほく線内で速度向上試験を開始した。試験の結果単線トンネル進入時に車内の気圧変動が確認され、車体を気密構造にするなどの改良が加えられた。また、トンネル進入時の圧力で、高運転台先頭車の貫通扉が故障するトラブルも発生したが、これも解決。同様の改良はJR西日本から北越急行に乗り入れる編成にも実施された。

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