「待つ時間がムダ」と思う人が知らない薬局の変化 電子処方箋で薬の受け取りはどう変わるのか
病院で受診をして処方箋を受け取り、薬局で説明を受けて薬を調剤してもらう――。ご自身やご家族に持病があると、数カ月に一度、1日がかりで薬局に行く必要があります。
事前に予約をとっていたとしても、自宅から病院への移動時間はもちろん、受診待ちや検査の結果待ち、調剤待ち・・・・・・。このために、忙しいビジネスパーソンが貴重な有給をとることもあるでしょう。
一方で受診後に発行される院外処方箋は年間約8億枚という推計もあり、薬局側にとって、ビジネスマンを含めた患者さんへの日々の処方には大きなインパクトがあるということがわかります(出典①)。
そんな、休日らしからぬ休日も「電子処方箋」を使えば減らせるかもしれません。
今年1月、紙の処方箋を電子化し、医療機関と薬局の間で患者さんの服薬情報をオンラインでやりとりする「電子処方箋」の運用が始まりました(出典②)。
6月16日に閣議決定された骨太方針の中にも、「医療DXに関連するシステム開発・運用主体の体制整備、電子処方箋の全国的な普及拡大に向けた環境整備、標準型電子カルテの整備、医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策等を着実に実施する」と記載されています。
処方元の医療機関と薬局が相互に患者さんのデータを把握し、薬の重複や飲み合わせが悪い薬(併用禁忌)をあらかじめチェックできるようになります。
昨今、国が主導して医療情報基盤の整備が進められており、現場での情報の利活用や、患者さん自身のデータを日常生活改善などにつなげるPHR(Personal Health Record)の充実などがあげられています。電子処方箋の導入は、医療機関と患者さんとのつながりをデジタルの力で強化する柱のひとつです(出典③)。
電子処方箋でなにがどう変わるのか?
患者さんにとって、薬局に処方箋をもらいに行く際の流れは、どう変わるのでしょうか。
通常、患者さんは医師の診察後に紙の処方箋をもらい、それを薬局に持参して薬を調剤してもらいます。患者さんは薬局で薬剤師が調剤をしている間、待つ必要があり、その分薬局の滞在時間が長くなります。出勤途中で薬局に寄る患者さんにとっては、時間のロスにもなるかもしれません。
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