「待つ時間がムダ」と思う人が知らない薬局の変化 電子処方箋で薬の受け取りはどう変わるのか

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元々、オンライン服薬指導を受ける場合、処方箋内容を医療機関から薬局へ直送してもらう方法が以前からありましたが(出典⑤)、電子化すれば患者さんにとって利用のハードルがより下がるでしょう。

電子処方箋に対応している医療機関・薬局のリストは厚生労働省のホームページに掲載されていますので受療の参考にできます(出典⑥)。

電子処方箋普及への壁もある

その一方で、2023年4月23日時点で、電子処方箋は全国3352施設(病院9、 医科診療所250、 歯科診療11、薬局3082)で運用開始とされており、広く普及しているとは言いがたい状況です。(出典⑦)。

普及の壁として、システムベンダーのリソース逼迫(ひっぱく)や各医療従事者が電子的な作業に対して署名を行うためのHPKIカードの申請・発行・取得および運用に時間を要しているという話題もありますが、導入に対する費用負担の面も大きいです。

電子処方箋を導入する際は「医療情報化支援基金」に補助金を申請できますが、各種病院会・医師会・薬剤師会等の団体より補助率引き上げの要望がでています(出典⑧)(出典⑨)(出典⑩)。

実際に大学病院では、「システムを入れると数千万円の負担が生じるので厳しい」という話や、診療所などでもご年配の医師が「もうすぐやめる予定なのにここで追加費用をかけてシステムを変えるのか」と抵抗の気持ちを示されるケースもあるようです。

薬局経営者の方と話していると、「今後、電子処方箋のさらなる広まりが予測されるので導入しようとは思うものの、費用を考えると足踏みしてしまう。補助金を申請しても店舗当たりの準備費用や月々数千円のランニングコストが生じるのは、現状の処方元における普及度合いをみても見合わない」といった声も聞きます。

日本医師会や全日本病院協会等が「電⼦処⽅箋の最終受益者は、より最適な医療を受けることができる患者であり、必要としない重複投薬の回避等により国⺠医療費の適正化を実現できる国であると考えます。⼀⽅で、医療機関側は、電⼦処⽅箋の導⼊は収益増につながるわけではありません」と述べているように、お金と手間をかけても患者数が増える確証はないため、費用対効果が悪いと業界関係者に評価されている側面があるのかもしれません(出典⑧、出典⑨)。

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