「待つ時間がムダ」と思う人が知らない薬局の変化 電子処方箋で薬の受け取りはどう変わるのか

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視点を変えると、海外では日本に先行してシステムを導入している国が多数存在します。例えばエストニアは、2010年に運用を開始し、2021年時点での電子化率は99%と言われています。

まず診察時に医師が電子処方箋情報を専用データベースへ登録。薬局では、薬剤師が患者さんの本人確認を行った後、データベースにアクセスして情報を取得し調剤を行います。また、慢性疾患で繰り返し同じ薬が必要な場合は、患者さんがメールや電話をすれば、医師が処方箋を出すことも可能です(出典⑪)。

物理的な紙情報への依存がなくなり、患者さんご自身の履歴をオンラインで閲覧できるほか、身分証明書提示のみでどの薬局においても電子処方箋に基づき薬を受け取ることができるメリットがあります。

厚生労働省 電子処方箋サービス推進室によると国内においては、実際に事前利用申請をしている医療機関も増えてきています(出典⑫)。中長期的な目標としては、2025年3月をメドにおおむね全ての医療機関・薬局への導入を目指すとされています(出典⑬)。

電子処方箋システムによりオンラインでの診療や服薬指導など患者さんの選択肢に広がりが生まれて利便性がより増すからこそ、本人が服用中の体調変化に気づけるかどうかがカギとなります。

例えば、慢性疾患の治療のため血圧を下げる薬を長年にわたり続けていた50代男性の患者さんは、以前から歯茎の腫れが気になっていました。

薬剤に関して気になることがないかを尋ねる薬剤師からの連絡をきっかけに、薬の副作用が原因だったと判明。長期間服用していたからこそ、ご本人は副作用という考えに及ばなかったのです。その後、処方内容の変更が行われ、症状は落ち着いたそうです。

医師と薬剤師の付き合い方を考えるきっかけに

普段の生活の中で、体調に違和感があっても受け流してしまったり、検索したりする方は多いと思いますが、専門家に聞いてみることも時には大切です。

ささいな異変が起きた際、特定の薬や治療を症状の原因と紐づけて考えられる人ばかりではないと思います。医師や薬剤師との付き合い方について考え直すきっかけとして、電子処方箋はもちろん医療機関や薬局のサポートを利用してみるのもよいでしょう。
 

山﨑 友樹 株式会社カケハシ プロダクトマーケティングマネジャー/薬剤師

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やまざき ゆうき / Yuki Yamazaki

水野薬局等の勤務を経て株式会社カケハシへ参画し、次世代型電子薬歴システムMusubiに搭載する薬剤や健康関連コンテンツの整備及びシステム導入・運用の支援に従事。その後、患者さん向けアプリPocket Musubiの推進も担当。CareNet.comにて、服薬指導に役立つエビデンスを解説する「論文で探る服薬指導のエビデンス」を経験。

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