高良健吾「下手なのに評価される」葛藤を経た現在 「俳優を続ける原動力は、悔しさが一番デカい」

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── すでに人生の半分を俳優として過ごしてきたわけですが、俳優という仕事は、最初に憧れていた時のイメージと比べて、実際はどうでしたか?

高良:やっぱり、他人の人生を自分のことのように考え、理解しようと寄り添って、書かれているセリフを発するというのは、簡単に言ってしまえば“書いてあることを言うだけ”なのに、こんなに難しいし、(心身が)削れるんだ……というのは、やっていて感じます。

芝居によって傷ついたり、自分の出来なさ加減に落ち込むこともしょっちゅうですし。思い通りにいかなすぎて、全然できてないじゃん! と思う瞬間は最悪で、もう思い出しても嫌になる……(苦笑)。

── 自分の未熟さに打ちのめされた時は、どうやって這い上がるのですか?

高良:次、頑張るしか攻略法はありません。次にできるかどうかはわからないけれど、明確な意思を持ってやるしかない。ただ、自分がダメだと思ったものが、本当にそうなのかというのはわからないです。自分がダメだと思ったものが評価される時もあれば、その逆ももちろんあるので。

そういう意味では、この、正解がない芝居という世界では、自分の判断に引きずられすぎることもないんだとは思いますけど。

こんなに下手でダメなのに、どうして評価されるんだろう

── できなくて悔しいと思ったものが評価され、納得のいく表現ができたと感じるものが評価されない時は、どう飲み下しますか?

高良:そういうものだと思うし、だから面白いんだなぁと思います。どう感じるかは受け手次第なので。

── 芝居を始めた当初から、そういうふうに思えたのですか?

高良:はい、最初から。僕は、「自分はこんなに下手でダメなのに、どうして評価されるんだろう?」というジレンマからのスタートなので。自分では手応えもなく、やれている気がしないのに、評価されるという状況がすごく怖かったし、ずっとそれが苦しかったんです。

── 世間の評価と自分の感覚の差異も、経験を積む中で縮まっていったのでしょうか。

高良:いつからか、世間の評価と自分の感覚を比べないようになったというだけですかね。比べるのではなく、自分はどうだったか? を自分に問うている感じです。

(写真/内田裕介(Ucci))

── それは、自分に自信がついたから、そう思えるようになった?

高良:役を演じるということで考えたら、自信という概念は僕にはないです。変化に根拠があるとすれば、やってきた年数だけな気がする。

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