寿命まで左右する!驚異の「腸内フローラ」 腹時計が乱れると、万病を引き起こす

拡大
縮小

こうしたことから、メラトニンの合成には腸の健康がとても大事であることがわかります。腸が元気であれば、腸内フローラが豊かに保たれ、ビタミン群の合成力が高まります。その状態のときに、肉や魚、卵などのタンパク質が入ってくると、メラトニンの分泌量を増やせるのです。

メラトニンの前段階であるセロトニンは、人間の精神面に大きな影響を与える神経伝達物質で、心のバランスを整える作用があります。脳内セロトニン量が減少すると、「うつ病」になると言われています。

セロトニンの分泌量が増えれば、メラトニン量も多くなり、睡眠のリズムが整います。反対にセロトニンの分泌量が減少すると不安感が高まり、不眠状態が強くなります。

病気を防ぐ「腸の時間割」

現代社会に生きる私たちは、高度に発達した文明により多くの恩恵を受けています。そのことが、人間に新たな難題を突き付けています。たとえば、医療の発展は、人の寿命を延ばしました。その一方で、死なないけれど治りにくい病気を抱える人が急増しています。その原因の一端に、体内時計の乱れがあると思います。

最近、『病気を防ぐ「腸」の時間割――老化は夜つくられる』(SB新書)という本を出版いたしました。肝臓や膵臓、脂肪組織細胞にまで「末梢時計」が存在していることが明らかにされた今、脳にある「親時計」と同調した生活をすることが、糖尿病や認知症をはじめとするいろいろな病気を予防し、若さを保ち、寿命を延ばすために必要であることを、ぜひ知っていただきたいと思います。

藤田 紘一郎 東京医科歯科大学名誉教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ふじた こういちろう

1939年、旧満州に生まれる。東京医科歯科大学医学部を卒業し、東京大学大学院医学系研究科博士課程を修了。医学博士。アメリカ・テキサス大学にてリサーチフェローののち、金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学大学院教授を経て、現職。専門は寄生虫学と熱帯医学、感染免疫学。腸内細菌の研究の権威。1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を受賞。2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞および国際文化栄誉賞を受賞。
2021年5月14日、藤田紘一郎さんは逝去されました。ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。『血液型と免疫力』(宝島社新書)は生前に執筆された著書です。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT