体内時計を無視するから、日本人はがんになる 「時計遺伝子」の力を知っていますか
今、日本ではがんになる人が増えています。一生のうち2人にひとりはがんになり、3人にひとりはがんで亡くなっています。
理由はいろいろ考えられますが、私は日本人が生体のリズムを無視した生活をしていることが、がん発生の一因になっていると思っています。近年の研究により、体内時計を無視した生活が発がんを促していることが明らかにされてきたからです。
私たちの体は、約60兆個の細胞によって構成されています。一つひとつの細胞核のなかには「生物の設計図」と言われる膨大な数の遺伝子が詰め込まれています。その一部には、「時計遺伝子」と呼ばれる十数個の遺伝子が含まれています。がん細胞は、時計遺伝子に異常が起こると発生することがわかってきたのです。
人間の体を構成する60兆個の細胞は、細胞分裂によって日々、新しいものへと入れ替わり、働きを維持しています。これを新陳代謝といいます。1日に新旧が入れ替わる細胞は全体の約2%です。つまり、1.2兆個もの細胞が細胞分裂によって毎日生まれていることになります。
体内時計が狂うとがんになる
これほど膨大な数の細胞が、周期的に正しく分裂を行えるのは、時計遺伝子がすべての細胞に組み込まれ、正常に働いているためです。しかし、時計遺伝子に異常が生じると、細胞が分裂するまでの周期に狂いが生じます。これが、がん細胞が発生する大きな要因のひとつだろうと考えられるようになってきたのです。
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