体内時計を無視するから、日本人はがんになる 「時計遺伝子」の力を知っていますか
京都府立医科大学の八木田和弘教授のチームは、時計遺伝子が細胞分裂と密接にかかわっていることを研究しています。細胞内に存在する「ピリオド」という時計遺伝子は、マウスの正常な皮膚細胞では周期的に増減して、約24時間のリズムを刻んでいました。ところが、体内時計を持っていないES細胞(胚性幹細胞)では、「ピリオド」が体内時計を作ることはできませんでした。この研究によって、がん発生と体内時計の関係性についての研究がますます進むことが期待されています。
私たち人類は、体内時計を持つことができたからこそ進化をとげることができた唯一の生物種です。しかし、大半の現代人は、体内リズムには目もくれず、昼夜関係なく好き勝手な生活を送っています。大勢の人々が次々にがんで亡くなってゆく背景のひとつに、体内時計を無視した生活環境があるのは間違いないと思います。
過去の生物の歴史を見ると、体内時計を獲得できなかった生物は地球上から淘汰されています。体内時計のリズムに素直に従わない日本人が次々とがんという難病に侵されています。これは自然の営みを無視し続けている日本人に対する、地球からの警告であると私には思えてならないのです。
宇宙のリズムに呼応している私たちの体
私たち人類は、太古の昔は時間に単位という明確な物差しを持っていませんでした。ただ、宇宙のリズムを全身で体感しながら生きてきただけだったのです。やがて人類は、文明を創造するなかで、時間の単位を構築し、単位によって時の流れを計算するようになりました。その単位を上手に使って生活を心豊かに彩りつつも、一方では、自然現象から宇宙のリズムを感じながら生きてきました。
私たちの体は、宇宙のリズムに呼応して動いています。この規則性を「サーカディアンリズム」といいます。「サーカ」とは「おおむね」、「ディアン」は「1日」という意味です。この生体リズムをコントロールしているのが、「体内時計」です。
つまり、「時間」とは、宇宙のリズムがもたらす現象であり、人が身勝手に制御できるものではないのです。だからこそ、私たちは宇宙のリズムとサーカディアンリズムに調和をもたらしてくれる体内時計に、もっと謙虚な気持ちで向き合うべきだと思うのです。
時計は、1日24時間ときっちり計算します。しかし、私たちの体内に埋め込まれたサーカディアンリズムはそうではありません。サーカディアンリズムは、「おおむね1日のリズム」で、きっちり24時間ではないのです。その理由は、地球の自転周期がだんだん延びていることにある、とされています。
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